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一般社団法人日本能率協会
2017/12/25

シルバー世代の急激な増加に向けて待ったなし! 今後の医療・福祉をうらなう『HOSPEX Japan 2017』が開催

医療・福祉現場のニーズを汲むイノベーションが集結

病院・福祉分野の総合展示会『HOSPEX Japan 2017』(以下、HOSPEX)が、11月20日〜22日の3日間、東京ビッグサイト(東京都)で開かれた。今回が46回目となる「日本医療福祉設備学会」の歴史ある併設展示会であり、医療・福祉関連の設備機器、給食、機器開発テクノロジーなどに関わる400社、650ブースが、3ホールの広い会場に所狭しと並んだ。

HOSPEX Japan 2017入場口

医療・福祉関連とひと口に言っても、カバーする範囲はかなり広い。近年は病気になる前の“未病”や高齢者向けのリハビリなども注目され、ビジネスチャンスが広がってきたことから、今年は『ジャパンシルバーEXPO 2017』を第1回として併催。3日間の合計来場者数は2万1453名と盛況で、前回の20,593名よりも1000名弱の増加となるなど、注目度の高さを伺わせる結果となった。

HOSPEX Japan 2017来場者受付

なお、本稿はHOSPEXの俯瞰的なレポートとし、クラウドと繋げて活用するIoT(Internet of Things)関連のコンテンツは別記事で紹介する。

今回のHOSPEXを見ていると、高齢者や障害者などの介護に焦点を当てた製品やサービスの存在感が大きい。介護される側だけでなく、介護する側の負担や疲労軽減を目的としたものも多く展示されていた。

また、医療施設に関しては感染予防に関する展示も目立つ。IoTも含め、各社の展示に通底するのは人材不足解消や、業務効率化による労働環境の改善を提案する“現場の需要に応えるもの”が大変多いことだ。

たとえば「次世代医療・福祉体験コーナー」では、さまざまなタイプのマッスルスーツ(スマートスーツ)が展示され、来場者が実際に身に着けて、身体の動きのアシストや、負担軽減がどのようになされるのか確かめていた。

次世代医療・福祉コーナーマッスルスーツ

医療や介護の現場では、身体の小さな看護師や介護者が、自分より身体の大きな患者や寝たきりの高齢者をケアしなければいけないシーンが日常的に発生している。重労働が続けば看護や介護の側が体調を崩しかねず、本末転倒の事態が起きているのだ。

そんな場面でもマッスルスーツを使用すれば、重い物を持ち上げたり、中腰などの負担の大きな姿勢を続けるのが容易になる。このため、医療や介護に限らず、物流や建築、農作業などの現場でも高い関心が寄せられている。

マッスルスーツマッスルスーツ

“高齢者対応”と“院内感染の防止”がトレンド

今回のHOPSPEXの特徴の1つとなっている『ジャパンシルバーEXPO』では、病気にならないための未病、食べやすく準備の手間を低減できる介護食、あるいは転倒防止などに関連する展示が集まっていた。

特に介護食は、味、栄養、飲み込みやすさ、歯ごたえなどの硬さ、保存性などでさまざまなニーズがあり、今後もイノベーションの続く分野と言えるだろう。

マッサージ機の展示調理器具の展示

らくらく介護粒の展示展示の様子

高齢者の健康維持だけでなく、患者のリハビリなどにも運用可能なプロダクトの展示も見られた。ウォーターベッドがベースになったマッサージ機や、座った姿勢のまま脊柱湾曲運動を矯正できる機器などは、多くの来場者が試用して効果を体感していた。

マッサージ機の展示機器の展示

もうひとつ、トレンドと感じられたのが院内感染予防に関する展示だ。院内感染を予防するには大きく2つのアプローチがある。1つは病室や手術室など病院施設内の空間や設備に対する消毒や滅菌/殺菌。もう1つは廃棄物の適切で迅速な処理だ。

診察や手術の道具、あるいは部屋そのものに対する殺菌の重要性は改めて説明するまでもないと思うが、いかにスピーディかつ確実に実施できるかは注目の的だ。除菌や消臭も高いニーズを持つ。

滅菌などの展示滅菌物回収コンテナー

除菌・消臭の展示IQ fresher ZEROの展示

院内感染予防の展示

廃棄物処理についても、血液や汚物を媒介に感染が広がらないよう、高温で速やかに消毒したり、ディスポーザーで容器ごと処分したり、自動化により人の手を介さないようにするといった提案がなされていた。

ディスポーザーの展示感染性廃棄物収納容器の展示

処理工程

病院設備で注目されていたのは、先述の介護食にも通じるが、病院食の在り方を問う内容だ。厨房で病院食を作るにしても、センター方式などでのデリバリーを利用するにしても、昨今の病院では経営の合理化が求められるところが多く、病院食は効率化による経費削減や省力化が進む分野の1つと言える。もちろん、栄養や食べやすさなど、毎日口にするものだけに疎かにできない部分もある。調理や洗浄の仕方なども進化しており、考えさせられる内容の多い展示だ。

fujimakブース厨房

ウイルスの繁殖に抵抗力のある高抗菌性の床材を工事せずに設置する展示や、院内での患者の移動を容易にするモック型の設備なども多くのギャラリーを集めていた。

床材を工事せずに設置する展示床材を工事せずに設置する展示

MULTI WAND Sustia展示患者の移動を容易にするモック型の設備

手術室に関連する展示も多かった。手術室などへの医療ガスの配管、特殊な手術台や手術用の照明と連携する大型の映像機器といったものは、簡単には導入できない大掛かりなものが多く、建設時やリニューアルの際にいかに先のことまで見据えて準備するかが大事になる。

配管の展示災害対策の展示

手術台、手術用照明の展示大型映像機器の展示

大型映像機器の展示

2025年に向けて現場に求められるのはスタッフの負担軽減

駆け足で見てきたが、2017年のトレンドが垣間見えるようであれば幸いだ。最後に、来年以降の見通しについて、本展示会の担当者に話を聞いた。

展示会の担当者

「来年以降も高齢者世代や介護に関連する分野は、まだまだ伸びていくのではないかと考えています。

2025年には団塊の世代が、75歳以上の後期高齢者になります。この2025年を契機に福祉や介護の在り方は大きく変わる見通しです。大変人口の大きな世代なので、老々介護のような形にならないようになったとしても負担が少なくて済むように、現場の負担軽減に役立つ機器やサービスが増えています。

民間だけでなく、国や自治体も2025年に向けてさまざまな施策を打っています。セーフティネットの構築や、施設でのサポートなど、新しい設備やサービスの導入しやすい環境づくりを後押ししており、ビジネスチャンスにもなっています」

HOSPEXは気になるキーワードが多く、見どころの多い展示会だが、2025年に向けてますます多くの出展者、多くの製品・サービスが集まると考えられる。出展者同士でつながりが生まれ、協同で次の展開を図るケースも少なくない。新しい情報を得るだけでなく、新しいビジネスを求めて参加してみるのも良いのではないだろうか。

HOSPEX Japan 2017

■会期 / 2017年11月20日〜22日

■会場 / 東京ビッグサイト

■来場者数 / 2万1453人(3日間合計)

■出展者数 /400社(650小間)

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