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一般社団法人日本能率協会
2018/05/23

AIやビッグデータの活用で 駐車場の将来が垣間見せた 『第1回 パーキングシステム・設備展』

次世代の駐車場運営システムに注目!

メカトロニクス、エレクトロニクス分野の要素技術と製品設計を支援する専門展示会『TECHNO-FRONTIER 2018』が、4月18日から20日までの3日間、幕張メッセ(千葉県)で開催された。

第1回 パーキングシステム・設備展

同展示会は、期間中(3日間)の来場者が1万9792人にのぼるなど、業界を絞った専門展示会の中では屈指の規模を誇るが、人気を集める理由のひとつに、業界のトレンドに合わせたテーマで開催される併催展の存在がある。たとえば、産業分野におけるドローン(無人航空機)の利用に焦点を当て、機体や構成技術、時活用事例を紹介する『国際ドローン展』だ。

今年は、昨年開催された『国際ドローン展』『駅と空港の設備機器展』に加えて、新たに『パーキングシステム・設備展』を開催。『駅と空港の設備機器展』の一部として実施されたもので、主に駐車場に用いられる設備や技術、次世代の駐車場への採用が期待される新技術を紹介。はじめての開催にもかかわらず、11もの企業がブースを構えていた。

 本レポートでは、その一部を紹介し、パーキングシステム・設備展の魅力に迫りたい。

IT技術を採り入れて利便性を向上する駐車場
生活に溶け込む駐車場関連企業の気遣い

国内の駐車場システムやパーキングメーターといった設備で、多くのシェアを獲得している企業のアマノは、大型のブースで来場者の注目を集めていた。

チケットレス駐輪場システム

中でも大きくスペースをとって展示されていたのは、非接触型ICカードを応用した『チケットレス駐輪場システム』だ。利用者は、入庫時にSuicaなどのICカードをパーキングメーターにかざし、自身のICカード情報を端末に記録。出庫時はICカードをかざすだけで、駐輪時間を計算し、料金を算出してくれるというもの。利用者にとっては、駐輪チケットを紛失するリスクがなくなるとともに、ICカードで決済でき、管理者にとっては、チケット印刷用の給紙の手間が省けるというメリットがある。

チケットレス駐輪場システム

今回は、参考出展のかたちで展示されたが、愛知県日進市の大型商業施設『プライムツリー赤池』では、すでに導入されており、今後も商業施設や空港、市町村の役所など、大型の駐車場を敷地内に持つ施設で導入が期待されるシステムだ。

また、同社のブースで、もうひとつ注目を集めていたのが『駐車場位置案内システム』だ。駐車場の出入り口やスロープ、フロアに“車番カメラ”と呼ばれる特殊なカメラを設置。このカメラがナンバープレートを読み取り、車の位置をトラッキングする。入庫受付時に発行するチケットと、車の位置を紐付けることで、利用者は精算時に自身の車の位置を教えてもらえるという仕組み。

駐車場データセンターサービス駐車場位置案内システム

広大な駐車場では、時に自分の車をどこに停めたのか、わからなくなってしまうこともあるだろう。駐車場の端から端までシラミ潰しに探したり、施設のスタッフに協力をしてもらったり、場合によっては、ほとんどの車が出庫する閉館時刻まで待たされるといった可能性もある。『駐車場位置案内システム』は、そういった状況を避け、車を止めた場所までスムーズに辿り着けるというわけだ。『駐車場位置案内システム』は、すでに沖縄県那覇市の那覇空港ビルディングと協業で、実証実験の段階に入っており、実用化も間近。導入が進めば前述のような悲劇は生まれにくくなる。駐車場の一利用者としても製品化が楽しみな製品だ。

姿を現しはじめた次世代の駐車場運営システム

およそ18年間にわたり、カーナビや地図メーカーに駐車場データーベースを提供しているアイ・エム・ジェイ。極めて多くのカーナビにロゴが表示されるため、見かけたことのある人も多いだろう。その、アイ・エム・ジェイが展示していたのは、コインパーキングの精算機とネットワーク連携をして、スマートフォンから駐車料金の支払いができるアプリ『SmooPA』だ。

アイ・エム・ジェイ展示

スマートフォンのアプリでユーザー自身が駐車した“車室番号”を入力すると、精算機からの情報を取得して、キャッシュレスで精算できる。仕組みとしては、インターネットに接続された通信機が、駐車情報を一度クラウド上にアップ。スマートフォン側から問い合わせると、サーバーから駐車場所や駐車時間といった情報を取得して、あらかじめアカウントに登録したクレジットカードで精算ができるというものだ。

駐車料金の支払いができるアプリ『SmooPA』駐車料金の支払いができるアプリ『SmooPA』

『SmooPA』は、あくまでもシステムであり、駐車場事業者と提携すれば、どのような駐車場へも導入できるという強みがある。現在、すでにカノープスパーキングなどに導入され、実稼働している。今後も提携が進み、広く実用化されれば、スマートフォンから駐車場の料金を精算する文化が広がるかもしれない。

一方、パナソニックの社内ベンチャーとして設立されたPUXの『Softsensor Analytics Edge for Vehicle』も、ソフトウェアで駐車場を便利にするという切り口での出展されていた。

ナンバープレート認識ソフトウェア

駐車場に設置したカメラが車の画像を解析し、ナンバー情報のみを正確に認識。それをリアルタイムでサーバーに送信するという技術だ。前述したアマノの『駐車場位置案内システム』にも似ているが、こちらはサーバーに情報を蓄積し、クラウドデータとして活用できる点、そして用途を限定しないソリューションのカタチで提供している点が特徴だ。『駐車場位置案内システム』よりも自由度が高く、使用者によってさまざまな使い方ができるだろう。

駐車場システムナンバープレート認識ソフトウェア

具体的には、駐車場の入出庫管理や満車・空車情報の管理といったスタンダートな用途のほか、ナンバー情報から地域別の来場者数をデータ化したり、遠方からの来客のみ料金を割り引いたりなど、アイディア次第ではさまざまな用途に応用が可能となる。

ETC車載器を応用するという新機軸で挑戦

さまざまな企業が駐車場にかかわる技術を展示する一方で、既存の仕組みを生かした包括的な動きを展示しているブースもあった。高速道路の電子料金収受システムである“ETC”を駐車場の料金収受に利用しようというのが、ETC2.0普及促進研究会だ。

ETC2.0普及促進研究会

ETC2.0普及促進研究会とは、任意研究活動団体で、沖電気工業やソニーペイメントサービス、中日本高速道路(NEXCO中日本)といった企業が研究会員として名を連ねる。同研究会の説明によれば、現在のETC道路料金所は全国で1500カ所、ETC利用車台数は6700万件にものぼり、1日あたり700万台がETCを利用しているという。これだけの数字が、高速道路の電子料金収受のみに使われているという、いわば“もったいない”状況。すでに世界有数の巨大市場があり、ETC駐車場やETCガソリンスタンド、ETCドライブスルーなど、さまざまな用途に、ETCを流用しようという取り組みを続けている。

ETC2.0普及促進研究会

高速道路を利用し、パーキングエリアやサービスエリアで買い物をし、給油した上で一般道路に出る。ここまでの動きで、現在は何度か財布を取り出し、現金やクレジットカードで決済をする必要がある。ETC2.0という規格が一般的になれば、すべて車載機器で決済でき、大きく利便性が向上することになる。

また、同研究会では、宅地や農耕地など、個人所有の土地の駐車場としての活用も提案している。住宅地にも駐車場需要はあるのに、都市部から外れるとほとんど駐車場がなかったり、農耕地のスペースが大きく余っていたり、といった状況に着目。ETCアンテナを設置するだけで車両管理から清算までを一括して実現可能で、誰でも手軽に駐車場を運営できるようになるのだ。

ETC2.0普及促進研究会

ブースの担当者は、これらのアイディアをもとに、農家や住宅地で実証実験を重ね、いずれも良好な結果に終わっており、すでに、実用段階の検討に入っていると語る。公道を走るほとんどの車に搭載されているETC車載器が利用できるこれらの構想は、サービスが開始されれば、急速に利用が拡大する可能性が高い。

『第1回 パーキングシステム・設備展』の運営を担当する日本能率協会の大岡 遼さんは「“駐車場”という設備そのものは従来からありましたが、いままではあまり注目されていませんでした。ですが、カメラとAIを組み合わせて駐車場の利用状況を分析したり、クラウド上にデータを集約して活用したりすることができるようになり、盛り上がってきました。今後は“空いている時間をいかに活用するか”といったように、より効率よく駐車場を稼動できる仕組みに注目が集まりそうです」と駐車場運営システムの現状を語る。

日本能率協会の大岡 遼さん

駐車場という、生活に密接にかかわる場所は、使われる技術次第で利便性が大きく変動する。ビッグデータやAIなどを活用できるようになり、人間が手作業で分析していた従来の仕組みから脱却しつつある。今回の『第1回 パーキングシステム・設備展』は、駐車場の維持・管理システムの進化を垣間見られる展示会だったが、進化はまだはじまったばかりだ。次回の『パーキングシステム・設備展』では、思いも寄らない駐車場の新たな業態が見られるかもしれない

『第3回 駅と空港の設備機器展
■会期 / 2017年4月18日~20日
■会場 / 幕張メッセ
■来場者数 /3643人(3日間合計)
■出展者数 /54社(83ブース)

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