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一般社団法人日本能率協会
2017/05/17

クラウドやIoTを取り入れたインバウンドを見越した設備が目白押し! 公共機関の少し未来が見られる『駅と空港の設備機器展』

インバウンド需要へ対応するためにインフォメーションとセキュリティを拡充

『第2回 駅と空港の設備機器展』は、幕張メッセ(千葉県)で開催された『TECHNO-FRONTIER 2017』と併設して開催されていた展示会だ。展示されているのは、文字通り、駅や空港に導入するための設備が中心。鉄道や旅客機が好きな筆者は興味津々である。まずは、会場を回り、出展しているブースを眺めてみた。

まず目についたのが、セキュリティ関連の展示。2020年に開催される東京オリンピックを控え、インバウンドの増加が予想され、それに伴いセキュリティの強化が必要という流れなのだろう。

NIPPON SIGNALブース セキュリティゲート

入退室管理システムを製造するメーカーが、セキュリティゲートを展示。従来のような単純な金属探知機ではなく、危険物のみをチェックできるため、腕時計やベルトなどを外す必要がない。危険物の所持をスピーディにチェックできるため、駅や空港だけではなく、大規模なイベントなどで、入場者をチェックするシステムとしても期待されている。

ほかにも、歩行者を撮影した映像を分析し、その動き方から危険な行動をとりそうな人物を予測して、未然にリスクを抑えるソリューションを展示している企業も見られるなど、セキュリティ設備が多数展示されていた。

一方で、インフォメーション系の設備を展示している企業が多数あった。そのほとんどは、インバウンド対策としての設備で、多国語に対応したインフォメーションボードが中心だが……。ユニークなアプローチをしていたのが“音”を使ってスマートフォンに情報を表示するシステムだ。

Kyosanブース おもてなしガイド

人間の耳では聞き取れない、高周波帯の音域を利用してスマートフォンに情報を伝達する仕組みで、Wi-FiやBluetoothなどに頼る必要がなく、デジタルネットワークのインフラがない場所でも利用できるスグレモノ。iOSまたはAndroidの端末に、アプリをインストールして利用する方式で、7か国語でインフォメーションができるという。

事業者向けのソリューションをはじめ、デジタル化が急速に進むバス業界

今回の『駅と空港の設備機器展』で、インフォメーションやセキュリティと並んで、印象に残ったのが“バス事業者向けのソリューション”である。クラウドやIoTなど、デジタル化とは無縁の業界のような印象だったが、近年では、乗務員の管理システムから、バスの運行管理など、バス事業全体をカバーできるソリューションをサービスとして提供する企業も登場している。デジタル化することで、車両やドライバーを無理なく効率的に運用できるようにするとともに、運行管理にかかる手間を省いていたのが特徴的だった。

一方で、スタッフの育成に着目したシステムを展示しているブースもあった。

スタッフの育成に着目したシステムを展示しているブース バスの運転シミュレータ―

ブース内に簡易的な運転席をつくり、3画面に映像を出力するバスの運転シミュレーターを展示しており、バス事業者向けの展示ブースで、ひと際、賑わっていた。大型のディスプレイを3画面並べてバスのシミュレーションを投影し、臨場感は抜群。加えて、正面の小さなディスプレイにはメーター類が表示され、実物さながらの練習ができる。

特筆すべきは、シミュレーターの環境が、市販のディスプレイとパソコンで構成されていたこと。専用開発されたデバイスは必要なく、導入に際して、大がかりな設備を用意しなくても良い。このシステムならば、小さなバス事業者でも、導入できるだろう。

なお同システムは、バス事業者向けだけではなく、空港スタッフ向けのシミュレーターも、展示していた。旅客機の誘導をするマーシャラーのためのシステムでVR用のヘッドマウントディスプレイを利用しており、スタッフは現実さながらの練習ができる。旅客機は練習用だからといって動かすことはできないが、このシステムを使えば、じっくりと練習してから本番に備えることができるだろう。

また、バス利用者向けのロケーションシステムを展示している企業もあった。

見えバス 展示品

運行中のバスが、現在、どこを走っているかをリアルタイムで表示できるシステムで、スマートフォンにアプリをインストールして利用する。アプリを開くと、バスの路線とバス停、運行中のバスが表示される仕組みだ。

バスがバス停に到着する時間は、道路状況に左右されるため、どうしても遅れがちになるが、このアプリがあれば、到着のタイミングが正確に把握できるため、無駄にバス停で待つ必要がなくなる。現在は茨城県守谷市でサービスを提供中だ。

駅や空港、バスなど、交通機関がシステムを刷新する絶好のタイミング

ひとしきり出展ブースを回り、各社の最新技術に触れてみると、やはり「なぜいまの時期に交通機関の設備に特化した展示会を開催するのか?」ということが気になる。そこで日本能率協会の『駅と空港の設備機器展』担当者に話しを聞いた。

駅と空港の設備機器担当者

「2020年に東京オリンピックを開催するということもあり、インバウンドが急増することは間違いないでしょう。それに対して、空港や駅、バスといった、公共の交通機関では、設備の整備が必要な施設も、まだまだあると思われます。

そういった背景もあり、ビジネスとして必要性が高まっていると判断して、昨年から『駅と空港の設備機器展』が開催されることになりました。今回で2回目になりますが、やはり“インフォメーション”と“セキュリティ”の2つに関連する出展が多いですね。インバウンドが強く意識されているのでしょう」

インバウンドは促進したい……とはいえ、犯罪などにつながる危険性は未然に排除したいという、相反する課題があり、対応するためには、それなりの設備を整える必要がある。結果的に、ビジネスとしての必要性が高まってきているというわけだ。

一方、インフォメーションやセキュリティ関連の展示とは別に、会場で印象的だったのが、バス事業者向けのソリューションだ。業界的にバスでの移動が見直されているということだろうか。引き続き、日本能率協会の担当者に話しを聞いた。

「公営交通、電鉄系などの大手の事業者から、地元に密着した小規模な事業者まで、すべてを含めるとバス事業者は全国に約2400社前後あります。

バスを運行する事業者としては、利便性向上のためのロケーションシステムだったり、事故防止につながるドライバーが運転に適した状態かをモニタリングする仕組みだったり、ソリューションを導入したいというニーズは高いと思いますが……。

問題改善に取り組みはじめている事業者はあると思いますが、業界全体で早急に解決策が必要な課題であることは間違いないですね。そういった側面もあり、今後は車両にIoT技術の導入が必要になるかもしれません。ドライバー向けの居眠り防止用システムなども、ぜひ来年の展示会に出展してほしいですね」

確かに、ここ数年、何度か深夜運行の長距離バスが事故を起こして問題になっている。バス事業者は、バイタル系のメーカーを筆頭に、ICT分野で培われたセンサーやAIなどの技術を取り入れるなど、従来までの運営手法を根本から変えなければいけない時期に差し掛かっているのかもしれない。

インバウンド向けのインフォメーション設備やセキュリティ設備、バス事業者向けのソリューションなど『駅と空港の設備機器展』にかかわる分野では、まだまだ今後の“ノビシロ”が見て取れる。2020年に向けて、ビジネスの可能性を探ってみる価値が十分にあるだろう。

第2回 駅と空港の設備機器展

■会期 / 2017年4月19日~21日

■会場 / 幕張メッセ

■来場者数 /3358人(3日間合計)

■出展者数 /51社(81小間)

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