ようこそ、展示会!ビジネス・産業振興のために

一般社団法人日本能率協会
2016/04/20

『TECHNO-FRONTIER 2016』から、未来の社会を覗いてみました。

秘密のポケットからあらわれる、タイムマシンとか、ワープができる装置とか。2016年現在、そういった“未来の道具”が発明されたという話は未だ聞かない。しかし産業分野に目を向けてみるとどうだろう。工場でロボットがずらりと働く様や人工知能を搭載した機器。私たちの想像を超えて進化を遂げているものは、実は数多くあるのだ。そんな最新の技術や製品、研究に出会える展示会『TECHNO-FRONTIER』。この先どんな未来の社会が待っているのか、この目でぜひ確かめたいと、今年も行ってまいりました!
『TECHNO-FRONTIER 2015』のルポはこちら

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ただ飛ばすだけじゃない。“どう活かすか”が次のドローンの注目ポイント。

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まずは昨年同様、たくさんの人を集めていたドローンのエリアから。『第2回 国際ドローン展』では、実機の展示はもちろん、飛行デモンストレーションがあるため、人だかりができている。テレビ局の撮影クルーも数多く見かけたことからも、その話題性の高さが伺える。
昨年よりも広くなった出展エリアをぐるりとひと巡り。その特長をひと言でいえば、“どんなドローンがあるか”ということ以上に“ドローンをどんなことに使っていけるか”。一歩進んだカタチで、ドローンの活かし方を提示・提案しているブースが目立った。
『第1回 国際ドローン展』のルポはこちら

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たとえばこちらの、GPSを利用したドローンの自動操縦技術。ラジコンのように手動操作をした場合はドローンが見えなくなる距離まで飛ばすことができないが、こちらはあらかじめ飛行路線を設定すれば、かなり遠くまで自動でドローンが飛んできてくれる。御岳山や箱根の噴火時にかなり活躍したもので、災害現場など、人が近づくことに限界があった現場把握などをより正確に行うことができると期待されているそうだ。

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注目のドローン特区に関しても、自治体での取り組みを紹介するための出展があった。ドローンによる宅配実験を行ったり、高齢化の進む中で林業にドローンを役立てたり。住民からも、ドローンで生活がより便利になることへの大きな期待が寄せられているのだとか。
「ドローンを使った宅配に注目している人が多い印象です。しかしもっといろんな可能性を持っていることを示していきたい」と語るのは自治体の担当者。「ドローンによって町が注目を集め、町おこしにつながってくれれば」と話してくれた。

便利?省エネ?
各社自慢のソリューションがズラリ。

テクノフロンティアの本質であるエレクトロニクス分野でも、ユニークな最新技術・製品を数多く見かけた。

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そのひとつ、こちらの小さな基盤のようにみえるもの。この大きさの中に、実は12個ものセンサーが取り付けられている。温度や湿度はもちろん、対物温度や気体感知までに対応。これらがスマートフォンに内蔵されれば、たとえば鍋にスマートフォンをかざすだけでてんぷら油の最適温度を測れたり、タブレット端末に息を吹きかけてアルコールチェッカーとして使ったり、なんてことも可能になるのだそうだ。

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セグウェイの登場以降注目を集めているモビリティの分野からは、高齢化社会の中で役立てていけそうなものをご紹介しよう。高齢者が電動車椅子を使ってひとりで移動することはできないけれど、介護する側も車いすを押すのは非常に負担、という悩みを解消するモビリティだ。前の座席に人を乗せて、後ろから電動で操作できる。まさにありそうでなかったものだが、そういったものこそ将来的に本当に必要になってくる製品なのかもしれない。
当ライターも前の座席に乗せてもらったが、乗った心地は揺れの具合もスピードも、自転車のそれに近い。極端に凹凸のある地面でなければ高齢者の方でも、不安なく乗れるのではないだろうか。前後の席があまり離れておらず、十分に会話しながらの走行が可能なので、高齢者の立場からすると移動時の安心感はかなり違ってくるだろうと感じた。

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電源システムでは、ワイヤレス充電のデモンストレーションが人を集めていた。工場のオートメーション化が望まれる一方、機器そのものの充電には人の手が必須であったり、非常に時間や費用を要するものが多かった。こちらは、稼働中でも機器が充電器の前に位置するだけでワイヤレスに充電が可能であり、稼働を止めることなく充電と稼働を繰り返すことができるのだという。
担当者の方に「この技術からさらに期待できるのは、どんな未来ですか?」と聞いてみたところ、「ワイヤレスの考え方を追求して、空間の概念を研究していくと、アニメで見たような4次元ポケットだってつくれるかもね」なんてお茶目なことばが返ってきた。最新技術の並ぶこの展示会を見ていると、本当にそんな未来をつくってくれる企業がこの中にあるんだろう、という気持ちにもなってくるから不思議である。

IoTは“見える化”から、“学習する”時代へ。

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さて、これからの未来を大きく変えるものとして、新聞・雑誌のマスコミをにぎわしているのが、IoTの分野である。JMAの展示会担当者によれば、「IoTに関する展示は昨年と規模が変わらないが、来場者は倍増している」とのこと。世の中のIoTへの期待の大きさが伺える。

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これまでIoTの技術では、機器が動いた情報を蓄積してそれを“見える化”し、故障や動作不備があればアラートを出したり、部品交換が必要な時期などを知らせてくれることに使われることが多かった。そしてこれからは、機器がそれを“学習する”ということが次の進化なのだそうだ。蓄積した情報を機器自体が学習して、故障する前に故障を予防する動きをするように変わること。部品交換が必要になったら、ネットワークシステム上から自動的に部品の発注まで機器が行えるようになることなど。伸びしろだらけのIoTの技術に感心することしきり。

ニーズに応えるだけじゃない。
“いつか役に立つかも”がまだない未来をつくっていく。

IoT技術がさらに発達したら、“ロボットに人間の仕事が全て奪われて……”なんてSFみたいな世界が来てしまうのかなぁ、と考えつつ、カッコいいロボットやメカトロニクスの展示も見てみよう。「人間と一緒に働ける」をコンセプトとしたロボットを展示しているブースがあった。

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ロボットによる作業の利点のひとつが、その正確性。あらかじめプログラムされた通りに、寸分たがわぬ動きを見せてくれるのが彼らだ。しかしだからこそ、今までは人が働く現場とは切り離されたところにしか配置されなかった。たとえばプログラムされた動線上に人がいた場合でも止まれずに動いてしまった場合には、ロボットと人が衝突するなどの大きな事故につながりかねない懸念があったからだ。こちらのブースで紹介されていたのは、何か物体と触れたときにすぐに停止する機能を持ち、それまでと違う力の作用も感じ取れるようにプログラムされたロボット。ロボットと人が共同して仕事を行っていける未来を目指して、技術を開発しているのだ。

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同じくロボットの展示を行うブースの中で、担当者が特にアツく語っていたのがこちらのロボットアーム。挟んだりエアーで吸い付けたりするのではなく、限りなく人の手に近いやわらかい動きでモノをつかむ。にもかかわらず、実際に動かしてみると非常にがっしりと対象物をとらえ、500mlのペットボトルもやすやすと持ち上ることができた。
担当者によれば「どんなふうに活かしていくかは検討中ですが、来場者の方の意見がすごく参考になるんですよね」とのこと。お互いに「こんなことに応用するのはどうだろう?」とその場で意見交換をしながら新たなアイデアへと展開していけるのも、こういった展示会ならではのメリットだ。

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最後に訪れたのは、未来の大発明があるかもしれない大学研究室のブース。人体模型の脚にたくさんつないであるこれは、なんと化学繊維をより合わせてつくられた人工の筋肉だ。現在、世の中に出ている人型のロボットは、人型とはいえ動きそのものはやっぱり人よりぎこちない。それもそのはず、人間の身体には600以上の筋肉がついており、それらが緻密に作用することで、人間は動いている。ならばと、人の筋肉の収縮弛緩を再現できるように、化学繊維のチューブで人工筋肉の研究をしているのだそうだ。

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こちらの人工筋肉の研究者は「この研究は、夢しかない研究なんです」語ってくれた。非常に期待のできるものだという意味と、まだ実用化には遠く夢物語かもしれないという両方の意味で、である。しかし研究内容を説明するその表情は非常に楽しげで、きっと将来世の中の役に立つはずだという自信に満ち溢れていた。

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「こんなニーズがあるから」「こういった用途のためにつくろう」といった考えから開発された技術や製品はもちろん社会を便利にしてくれている。それと同時に、「どんなふうに役立てるかは未定。でも、きっと役に立つはず」というシーズ研究も少し先の未来をつくり、世の中を劇的に変える発明につながっているに違いない。誰も考えつかなかったようなアイデアは、最初の種を生んだ本人も気付いていないようなところで、「こんなことにも活かせるぞ!」と様々な人の考えと融合して生まれていくのかもしれない。子どもの頃にアニメで見た、あのあこがれの道具たちが、やがて目の前にあらわれる日も遠くないのではないか。そんな予感と期待でワクワクできる展示会であった。

『TECHNO-FRONTIER 2016』
■会期 / 2016年4月20日〜22日
■会場 / 幕張メッセ
■来場者数 / 3万1403人(3日間合計)
■出展者数 / 504社/1015小間(同時開催展含む)

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