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一般社団法人日本能率協会
2015/11/18

長寿大国ニッポンに、大リフォーム時代が到来! 『Japan Home & Building Show 2015』

日本の家は長持ちしない。西洋の石造りと違い、経年劣化すれば朽ち、地震や大火にあえば失われるという常識が古くからあった。しかし今の日本は世界一の長寿国。家よりも家主の寿命が長くなり、経済の低迷により若い世代は借金してまで新築をたてる余裕がない。30年以上たった資産価値のない空き家が放置されているのを、ルポライターの住む町でも実際によく見かける。

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『Japan Home & Building Show 2015』は、今年で37回をむかえる『ジャパンホームショー』を中心に、店舗オーナー、施設・ビル建設業、エクステリア販工店、造園業など6つのイベントが一堂に会し自社の商品やサービスを展示・紹介。日本の住まいの、これからについて情報交換をおこなう総合展示会となった。全てのブースを巡れば、日本で考え得る最新の“家”が出来上がるんじゃないか! と興奮気味にルポを開始した。

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キーワードは、世代を超えて長く住める“日本の家”

今回の展示で注目されているのが“リフォームと省エネ”。『第3回スマートハウス・エコハウス展』では、創エネ・築エネ・省エネの視点から太陽光発電、ヒートポンプ式給湯器、EV/PHV、断熱・遮熱材・気密材など多くの商材が紹介されていた。

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その中でも、家を結露から守り省エネにもつながる、浴室・洗面所・トイレの床・壁・天井・窓などの断熱・気密改修。また、次世代型太陽光発電とHEMS関連の展示が目立つ。太陽光もHEMSも、すっかり馴染みのあるコトバになってきたが、いざ設置しても、その技術をしっかり生かし切らなければ意味がない。設置するだけでなくエネルギーの創・築・省を連動させ、情報を共有することが大切であり、“省エネの見える化”をどう消費者に浸透させてゆくかが、工務店や設置業者の課題だという。

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政府は省エネ住宅へのリフォームを、補助金制度を設けて推奨している。しかし長年住み慣れた家を改築するのは、消費者にとってそんなに簡単なことではない。実は最近、築35年を超えたわが実家でも浴室をまるごとリフォームした。が、踏み切るまでかなりの時間がかかり、食卓の上に、長いあいだ山と積み重なった案内パンフレットが放置してあった始末だ。

経済産業省と国土交通省が後援する『リフォーム生活向上プロジェト』の担当者は、「消費者が安心してリフォームできる環境づくりが大切です」と話す。そのためにも供給する側が、消費者の期待に応えられる技術や提案力を備え、健全なサービスの向上を図ることが必要。しかし、すべての供給する側がリフォームや省エネについて詳しいわけではない。そういった出展者にむけ、この展示会では、国としてバックアップできることを伝えたいと意気込む。

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民間の出展ブースでは、最新の3D映像技術と3Dキャドとを駆使し、新築・改築後の間取りをリアルに実感できるサービスに来場者の目が集まっていた。体験してみたところ、設計段階で施主の体型に合わせた細部の調整が出来るだけでなく、体感することで家づくりに前向きになれそうだと実感。今はまだ一部のハウスメーカーなどが活用するにとどまっているが、会場では多くの来場者が驚きの声を上げていた。こういった最新技術を、実際に見て体験できることが展示会の大きな 魅力だ。

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木材を生かして、誰も作らなかったものを作ろう!

“見て触って確かめられる”という点で資材のPR効果は大きい。「木材は適材適所。柔らかい木、腐りにくい木。うまく選んで使えば家は長持ちする」。今年で30回目の出展を数えるカナダのレッド・シダのPR団体は、木片を手渡しながらそう話す。

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日本の建材といえば木。やはり今回の展示会でも会場のいたるところに木材をPRしたブースが多かった。そんな中、ひときわ目立っていたのが内装材から造作材だけでなく、ベッドからソファー、椅子やテーブル、戸棚やインテリアをふくめた“住まい”をまるごと提供するハウスメーカーだ。「良かったら寝てみて下さいよ」と勧められたのはベッド。驚くほど寝心地抜群だ!「平均寿命がのびた今、消費者には住まいをもっと楽しんでほしい。住宅メーカーがライフスタイルそのものを提案する時代だと思う」と社長。そして実は、まるごと“住まい”を購入したほうがコストも下がるという。なるほど。インテリアありきで間取りを考えれば、家具をあとから買いそろえる必要もなく、お得かも知れない。なによりも、同じ木材でそろえた空間は居心地がいい。やはり木の家はいいものだ、と日本に 生まれた者の感想。

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さて、木材がさかんにPRされる背景の一つには、日本の“木”が余っている現状がある。森林は計画的に伐採し、山を育ててゆかなければならない。『第10回ふるさと建材・家具見本市』では、地方創生と森林環境をメインに日本の森林をどう守り、利用するかがテーマだった。

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北海道のブースでは、低価値とされていたオホーツク産のトドマツ材の新しい利用方法を提案していた。愛媛のブースでは、ブランド桧を新しくインテリア素材として開発しPR。長野のブースでは、珍しい木製のサッシが目を引いた。主な受注先は幼稚園や公共施設だが、今回は戸建てメーカーや商業施設などにも、積極的に商品を紹介したいと話してくれた。新たなマーケットの開拓に一役買うことができるのは、総合展示会の大きなメリットだろう。各地方のブランド木材の新しい魅力と可能性、そして地方行政と協力しあいながら、森林という大切な財産を守ってゆくという熱意が感じられる展示だった。

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ずっと住むから、もっと自由に家を楽しむアイディアを

今回の『Japan Home & Building Show 2015』は住宅関連のみでなく、機能性・利便性・意匠性を備えた様々な製品を扱う『第1回庭づくり・ガーデニング展』と『第1回店舗・施設建築展』が新たに拡張された。

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「日本古来の伝統技法と新しい技術が融合したら、どんなイノベーションをおこすのか期待したい」と話すのは、桧皮葺という桧の皮を薄く延ばして重ねる屋根建築工法を専門に、国宝や重要文化財の屋根修理をおこなう会社の社長だ。職人さんによるデモンストレーションが行われ、桧の皮を薄く延ばす鮮やかな手つきに人だかりが絶えなかった。伝統技法は、コトバどおり長く日本の家を支えてきた工法。何千年ものあいだ受け継がれ、そこには“ずっと住める家”のアイディアと叡智が詰まっているにちがいない。

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ガーデニングに自由な発想と、庭石インテリアの可能性を感じさせてくれたのは“ガビオン”。本来、土木における護岸工事や床止めなどの目的に使われる素材だ。ガビオンで組み立てたパネルに軽石や材木を詰め込み、そこに植物を差し込んだりオブジェにしたりとガーデニングを楽しめる。ヨーロッパでは人気だそうだが、日本ではまだまだ知名度が低い。ガビオンとカタログで説明されても、その魅力にピンとこないが、庭を模倣したスペースにオブジェが並ぶと実に楽しい印象だ。こういった、さまざまなアイディアやディテールからの発想が、次世代の家づくりを劇的に変化させる進化の種が生まれたりするのかもれない。

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アイディアといえば、“木材”そっくりの人造デッキフェンスを提供する会社があった。見れば見るほど“木”であるが、じつは、1ミリも木材は使われていない。なかはウレタンとアルミ筒で出来ており変形・劣化しにくく軽くて丈夫。ウレタンは断熱材にも使われる素材のため、長時間太陽に元にさらされても熱くならない、庭やベランダに設置すれば“なんちゃってウッドデッキ”だ。ちなみに、わが家は都心へ1時間の田舎にある。海風が吹き、湿気もひどく、外壁は苔むし部屋中がカビる。そんな環境に住むとメンテナンスの問題はとても大きい。木の良さも、自然の大切さも知っているつもりだが、長く住むには扱いやすさも重要 だと思う。

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リフォームとは何か。長く住める家とは何か。

今回、様々な展示ブースをまわりインタビューを重ねて、印象に残った試みや言葉がいくつもあった。日本の少子高齢化と住宅問題に対して、多彩なアプローチがあり、解決糸口もありそうだが、はたして“長く引き継がれる資産価値のある住まい”とはなんだろう。「それは、お孫さんが来たくなる家だと思うんです」前出の『リフォーム生活向上プロジェト』の担当者が、教えてくれた。自分のためには改築したくなくても孫のためなら改築したい。そう考える消費者も多いらしい。確かに! わが親を見ても大いに納得できる。

ところで、取材した日は生憎の悪天候で、来場者の出足を気にしていた主催者側だったが、始まってみれば、携帯を片手に会場を走りまわる忙しさ。特に、リフォームや省エネ・デザインなどの専門家による講演会や各セミナーは大盛況。熱心に聞き入る来場者の姿が印象的だった。

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「次の世代が生活しやすい環境を残す。家づくりはその要です。この展示会が、家に関するさまざまな分野の出展者と、来場者が発展のあるコミュニケーションを図れる場であればと願います」と、頬を紅潮させるJMAの担当者。世界一、長寿命の国の、長住命な家を目指して。これからも『Japan Home & Building Show』に期待したい。

『Japan Home & Building Show 2015』
■会期/2015年11月18日〜20日
■会場/東京ビッグサイト
■来場者数/3万2,831人(3日間計)
■出展者数/534

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