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一般社団法人日本能率協会
2018/03/29

環境に優しく高品質の肉類の競演。意外な国からの意外な食材と出会える 『FOODEX JAPAN2018』

アジア最大級の食品・飲料専門展示会『第43回 FOODEX JAPAN 2018』が、3月6~9日に幕張メッセにて開催された。今年で43回目を迎える本展示会は、3350社、4000ブースの出展となり、過去最大規模となった。

海外出展ゾーンでは、肉の輸入解禁をにらんで、各国で自慢の牛肉、豚肉が並んだ。

オーストラリアと言えば、独自の生態系で有名だ。コアラやカンガルー、ディンゴといった動物が思い浮かぶが、そのカンガルー肉を食することができると知っていただろうか。筆者はこの1月にオーストラリアに住んでいたのだが、スーパーの精肉売り場でカンガルー肉を買うことができた。BBQにして食べたのだが、脂身が少なく、クセもなくて歯ごたえがあってジューシーだった。そのカンガルー肉だが、低脂肪、豊富なビタミンB群とオメガ3が含まれており、健康志向の方にはうってつけだという。

カンガルー肉

ところでオーストラリアにはカンガルー牧場があるのだろうか……? 聞いてみると、これらの肉はすべて野生のカンガルーで、年間に7万頭ほど狩猟が認められており、その頭数を各企業に割り当てているという。7万と聞くとその数の多さに驚いてしまうが、獲るのはすべて雄のカンガルーで、頭数が減る心配はないのだとか。逆に放置していると増えすぎてしまうため、食肉として活用することで頭数をコントロールしているという。日本のスーパーにカンガルー肉が並ぶのはまだ先になりそうだが、レストランのメニューで見かけた際にはぜひ試してみたいところだ。

今回、特に注目されているのはグラスフェッドビーフだ。グラスフェットビーフとは、牧草のみで飼育された牛のこと。自然の中で育てられ、赤身が多い肉質なのが特徴だ。一方のグレインフェッドビーフは、穀物を飼料として育てられ、その期間が長いほどサシが入る。和牛(WAGYU)は今やグレインフェッドビーフの世界的なブランドだ。今回、ウルグアイからはグラスフェットビーフとWAGYUの両方が提案された。ウルグアイのWAGYUは、日本の飼育方法にならった霜降りでかつ、日本のものに比べ安価なのが特徴だという。

和牛(WAGYU)

一方でヨーロッパの牛肉は、脂身の少ない赤身が好まれる。それは牛肉の食し方の違いから来るという。日本は薄く切って焼肉にするため、脂身があって口に乗せるととろけるような食感が好まれる。一方でヨーロッパは、厚く切ったステーキが主な食べ方だ。脂身は少なく、歯ごたえのある肉が好まれるという。そういえば日本に旅行に来たイタリア人の女子に「日本に来て一番驚いたことは?」と聞いたことがある。彼女は少し考えてから「肉が軟らかくて歯ごたえがない」と答えた。「軟らかい肉」は日本では高級肉の代名詞だ。感覚の違いに驚いた記憶がある。

ヨーロピアンビーフヨーロッパの牛肉ブース

アイルランドはヨーロッパ有数の牛肉生産国だという。年間300日も雨が降る地域のため、牧草がよく育つ。こうした豊富な飼料を食べて育ったのがアイリッシュビーフで、ヨーロッパをはじめ、世界中に輸出を行っている。厳しい審査を経て出荷されるアイリッシュビーフは、ヨーロッパのトップシェフたちが「最高の品質と味だ」と評価しているという。すでに日本にも輸出されているとのこと、ワインなどと合わせて楽しみたい。

その他にも、スペインブースではコルタドール競技会が行われ、生ハム薄切り技術が競われた。スペインといえば生ハム。削られたハムは次々と試食に出され、本場の味を楽しむことができた。カナダのある出展企業は、サラミの製造を行っているが、契約農場から原料を調達しているといい、原料の管理までできるサラミ業者はカナダでもここだけという。

コルタドール競技会生ハムの薄切り

同じくカナダの企業がサラミを出品していたので、話を聞いてみたら、この企業のカナダ国内で一番の売れ筋商品は餃子だそうだ。サラミと餃子とは、一見まったく関連性がわからないが、聞いてみても関係はなさそうだった。この企業が参入するまで、カナダでは餃子はアメリカから輸入していたそうだ。しかしカナダドル安に転じ、餃子の値段も高騰した。そこで国内生産ができればトップシェアになれるはずと踏み、餃子買いに参入したとのこと。なかなかのビジネス感覚だ。

中東と言えば砂漠のイメージがある。その国から、水を輸出したいというから驚きだ。政府系航空会社の機内食として提供しており、2014年に製造・販売を開始してからすでに13カ国以上に輸出をしているという。海水を濾過して製造されており、クセのない軟水なので、日本人には利用しやすそうだ。

軟水

また中東の食材で「タヒーナ」という白ごまのペーストがある。日本でも数年前から話題のひよこ豆のペースト「フムス」にも使われている。ブースではこのタヒーナを使った「ハルワ」というスイーツが紹介されていた。白ごまのザラザラとした食感にピスタチオの風味が混ざり、なんとも経験したことのない美味しさだが、アラブ諸国ではよく知られたスイーツなのだとか。

白ごまのペースト「タヒーナ」、タヒーナを使ったスイーツ「ハルワ」様々な出展品

コーカサス山岳地帯にあるアルメニアは、日本からはあまり縁のない小さな国だ。2011年に世界最古のワイナリーが発見されたことで有名になった。旧ソビエト領だったこの国では地方と都市部の貧富の差が激しく、農村部の生産物を政府が積極的に輸出支援しているという。そのひとつがフルーツ・ハニー・ドリンクだという。果物とハチミツだけで作られており、この国では昔から家庭の味として親しまれていたという。販売しているのは、ザクロ、マルメロ、シーバクソン、フェイジョアで、ザクロ以外の果物はあまり耳慣れない。飲んでみると、甘酸っぱいがしつこくない。どの果物も健康・美容に効果の高い成分が多く含まれており、健康志向の方に好まれそうだ。

フルーツ・ハニー・ドリンク販売物

地域の特産……というわけではないが興味深かったのは、ボトルに入った卵だ。日本では馴染みがないが、調べてみると南米では数カ国から販売されているようだ。レストランや工場への輸出を期待しているというこの商品は、賞味期限が生卵よりも長いことも利便性が高い。その理由は「huevo líquido pasteurizado」(低温殺菌液状卵)という名前の通り、低温殺菌されているためだという。ブースのスタッフは「牛乳と同じ原理だよ」と言っていた。タンパク質が固まらず、かつ殺菌できる適温で製造されているという。白身のみ、黄身のみ、ミックスがある。

ボトルに入った卵

ロシアでは、そばの実が穀物に代わる食材として展示された。ロシアではよく食される主食だそうで、最近では食意識の高いセレブ層を中心にして、ご飯やパン、パスタの代わりに親しむ人が増えている。実際に筆者も去年、そばのみをご飯代わりに炊いていただく方法を教わって、実践しているところだ。このそばの実への熱意の表れとして、そばの実ドレスを着た女性の看板を作ったり(なんとそばの実5kg使用!)、日本語表記のパッケージを作ったり、食品サンプルを展示したりしていた。食品サンプルは日本の文化で、海外には馴染みがないはずだが、そばの実の調理法を目で見てもらい、実感して欲しいとのことだ。担当者の熱意を最も感じたブースだった。

食品サンプルそばの実

水産庁によると、主要国の中では日本の魚の消費量は1位だが、その量は年々減っているという。平成18年には肉の消費量が魚を抜いている。また2018年1月にオーストリアの牛肉輸入が解禁されたことを始め、各国の牛肉が輸入開始を待っているような状況だ。

海外出展ゾーン担当の小原暁子氏は、本展示会について、こう語った。
「今回は肉にフォーカスしました。日本人の肉食傾向はしばらく続くだろうと言われています。また世界には私たちの知らない肉系の製品や、まだ輸入が解禁されていない製品が多くあります。今年1月にオーストリアの肉が解禁になりましたが、今後も各国からの輸入解禁が続いてゆくと見込まれるので、私たちの食卓が豊かになるように努めていきたいですね。一方、世界では、環境のために肉食を控えようとする動きがあります。広い牧草地が必要で、生産コストが高いこと、牛のゲップにメタンガスが含まれることなどが主な理由です。そのため、好き嫌いではなく環境保護を理由に、たとえば「平日はベジタリアン」という食生活を選ぶ人も出てきており、肉の代替として大豆でできたソイミートの食材等にも注目が集まっています。こうした動きを踏まえて、来年は国内外の肉と、その次にくるものにフォーカスしていくつもりです」

海外出展ゾーン担当の小原暁子氏

全体を取材して感じたのは、やはり高い品質と管理体制を売りにする出展者が多かったことだ。今や、安全で美味しいことはもちろん、環境への配慮も食品製造には欠かせない。先進国以外でも、安全性を訴える国が多かった。このゾーンは国を代表して出展しているところがほとんどだ。自国のブランドイメージを高めようとする姿勢を強く感じた。

全体的に冷凍食品の出品も多かった。実際に筆者は最近、冷凍カット野菜を愛用している。旬な時期に取れたものを瞬間冷凍しているため栄養価は生のものとほとんど変わらないという。その上すでにカット済みで、自然解凍しても食べられる。ひとり暮らしだと生で安価な野菜を買っても全部食べきれないことも多く、コスパも実は悪くない。今後はこうした高品質の時短商品がもっと出展されるだろう。

冷凍食品の出品

また、意外な国の意外な食材を探す場としても面白い。しかしあまりに奇をてらいすぎると、使い方がわからずにバイヤーの食指が動かないこともある。このバランスが大事になるのだが、ロシアのように食品サンプルを置くなど、各ブースごとの努力にも期待したい。

FOODEX JAPAN 2018(第43回 国際食品・飲料展)

■会期 / 2018年3月6日~9日

■会場 / 幕張メッセ 1〜11ホール

■来場者数 / 7万2,428人(4日間合計、海外9,931人)

■出展者数 /3,466社

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