ようこそ、展示会!ビジネス・産業振興のために

一般社団法人日本能率協会
2018/03/26

インバウンド市場の抱える課題解決のアイデアが豊富に見つかる展示会

2月21日~23日の3日間に渡り、東京ビッグサイト(東京都江東区)において『インバウンドマーケットEXPO2018』が開催された。第1回の開催ということもあり、出展者の多くに手探りな印象はあったものの、出展者102社、169ブースに対して、3日間で1万3895人もの来場者を集め、次回以降に向けての期待や課題も多く寄せられた展示会となっていた。

インバウンドマーケットEXPO2018

急速に伸びるインバウンド市場は課題もいっぱい

ここ数年、日本を訪れる外国人旅行、いわゆるインバウンドの人数が急激に伸びている。観光庁によると、2017年の訪日外国人客数は前年比19.3%増の2869万人に達し、過去最高の結果を示す。国別で見ると、最も多かったのは中国で735万6000人(15.4%増)。次いで韓国が714万人(40.3%増)、台湾が456万4000人(9.5%増)、香港223万1500人(21.3%増)となり、東アジアの4市場でインバウンド全体の約7割に達するという。

当然ながら、その経済効果も拡大している。2017年のインバウンド消費総額は4兆4161億円。前年比で17.8%増加しており、5年連続の過去最高額を記録している(ただし、ひとり当たり旅行支出は15万3921円で、前年比1.3%減となっている)。

『インバウンドマーケットEXPO2018』を主催する、日本能率協会の担当者は、今回はじめて展示会を開催した狙いについて、次のように語る。

「政府の掲げる日本の成長戦略のひとつとして、インバウンドの拡大が挙げられています。▼東京オリンピック・パラリンピック▼開催年である2020年には、4000万人のインバウンドを目指し、消費総額は8兆円に増やすことを目標としています。ビジネスチャンスが増えていく中、言語の問題はもちろん、宿泊や買い物、両替など、対応しなければならないさまざまな課題もあります。そういった課題に対して、解決するソリューションを持ちながらも、効果的に披露する場所がないため、なかなか露出機会が掴めない企業や自治体が多く、一堂に集める展示会が求められていました。どういう形での展示会が良いかと考え、『国際ホテル・レストラン・ショー』や『フード・ケータリングショー』などと同時開催にすれば、ビジネスの相性も良く、相乗効果も高いのではないかと判断しました」

日本能率協会の担当者

ちなみに、JTB総合研究所のデータによると、インバウンドのうち、ビジネスを目的として日本を訪れているのは約25%。ビジネスと観光を兼ねた場合も含めての観光目的での訪日は約79%という。インバウンドと言ったとき、旅行客の印象が強い人も多いと思うが、実際はビジネス目的も含まれている。むしろ、この点は分けて考えられない分野と考えたほうが良いと言える。

さまざまなカテゴリーの展示やマッチングスペースも用意

『インバウンドマーケットEXPO2018』の展示会場を見渡すと、出入り口に近い場所にはホテル向けのインバウンドソリューションが並んでおり、訪日外国人の利便性向上を図る製品やサービスに加え、サービス産業の人手不足を解消するICT・AI・ロボット関連などが目を引く。

訪日外国人の利便性向上を図る製品やサービスの展示訪日外国人の利便性向上を図るフリースマートフォン

言語の問題を解決する翻訳のソリューションをはじめとして、免税手続きの簡易化、内装・外装デザインや多言語対応の案内表示など、インフラ関連の出展も活況だ。これらの製品やサービスは、出展がきっかけとなり、観光業界向けメディアでの紹介にも結びつきそうだ。

株式会社ビジコムの展示あっと免税

株式会社コンバートコミュニケーションズの展示多言語対応の案内表示

外貨を円貨へ手軽に両貝できる自動外貨両替機や絵文字によって食材を表現することでインバウンド対応食を表現できるフードピクト、竹を加工したワインホルダー、米をシート状に真空パックしたメール便で送れるギフトなど、ユニークな製品・サービスを展示しているブースも多数出展されていた。

外貨両替の展示品竹を加工したワインホルダー

オコメールオコメール

また、会場の奥へ進むと、地方創生と結び付けた地域の食材、そしてツーリズム関連のブースが並び、さながら地域物産展のおもむきだ。

地方自治体の出展者に話を聞くと「インバウンドだけでなく、アウトバンドにつながる人脈も期待したい」と話す。和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたこともあり、日本の食材は注目を浴びている。海外で開催される日本フェアに展開することを期待している自治体にとっても『インバウンドマーケットEXPO2018』は有用な展示会になっているようだ。

お酒の展示食器の展示

山田錦せんべいとっくりとおちょこの展示

展示会は入手困難な情報が得られる貴重な機会

会場全体の8分の1程度の大きなスペースに仕切りを設け、内側を完全に見えなくした“ネクストマッチング商談ルーム”も興味深かった。これはバイヤーの求める製品・提案があらかじめ公開され、それを見た出展者が応募して、バイヤーとマッチングするというサービス。たいへん多くの応募が集まったそうだが、残念ながら中を見て確認することはできなかった。いったいどのくらいの商談がまとまったのか気になる。

また『インバウンドマーケットEXPO2018』には、まだまだ課題も残されるようだ。冒頭でも述べたとおり、第1回ということもあり、各出展者とも手探りの感が否めない。出展者にヒアリングすると、どんな来場者が来るのか分からない、事務局からの説明はあったが、もう一歩踏み込んだ具体像が掴めないといった声も聴かれた。

一方で、ほかのブースがどんなことをやるのか知りたい、チラシやカタログをどのくらい用意すればいいか迷うという出展者も見受けられた。こうした声は今回の実施内容や来場者の実態を踏まえて、来年以降に活かされていくだろう。

最後にある出展者から聞いた印象的な言葉を紹介しよう。

「自社の商品がどこにニーズがあり、どこにはないのか。インバウンド向け商材はこの調査が難しい。それが分かるのだから、それだけでも出展した価値は大きい」

『インバウンドマーケットEXPO』が第2回、第3回とますます盛り上がり、日本のインバウンド政策の下支えになる展示会へと育つことを期待したい。

インバウンドマーケットEXPO2018

■会期 / 2018年2月21日~23日

■会場 / 東京ビッグサイト

■来場者数 / 1万3895人(3日間合計)

■出展者数 /102社(169ブース)

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