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一般社団法人日本能率協会
2018/03/29

ご当地グルメを探索し、将来のヒット商品を先取りしよう 『FOODEX JAPAN2018』

アジア最大級の食品・飲料専門展示会『第43回 FOODEX JAPAN 2018』が、3月6~9日に幕張メッセにて開催された。その国内出展ゾーンは多くの人で賑った。各自治体はのぼりを立ててブースを飾り、スタッフははっぴを着込み、熱心に呼び込みをしている。会場は出展者、参加者ともに熱気に溢れていた。

会場の様子

展示会の魅力のひとつに「地元では有名だが、全国的な知名度は低い、将来のヒット商品を探すこと」がある。

イタドリは高知県民にはよく知られた食材だという。塩を持って山に入り、生のイタドリを取ってその場で食べていたというからワイルドだ。販売しているのは、昨年取ったイタドリの漬物。ブースではそれを軽く唐辛子と砂糖醤油で炒めたものを試食させてもらったが、コリコリとした触感が心地よく、おつまみによさそうだ。こうした「隠れたご当地グルメ」こそ、国内出展ゾーンの魅力だろう。

イタドリ

ふぐと言えば、毒があって調理するのに免許がいるというのは、有名な話だ。その「ふぐの子醸し漬」というのがあった。ふぐの卵巣を醤油や酒粕などで漬けたもの。ふぐの肝臓や卵巣などの内臓には、テトロドトキシンという毒が含まれていて、毒の強さは青酸カリの1000倍以上とのこと。その卵巣そのものは、厚生省により食することを禁じられている。しかし石川県では幕政時代より食文化として一般的に食べられていたため、県の条例により特定製造業者が特定の工程を経て製造し、検査されたものは加工・販売を許可されているという。テトロドトキシンは熱では壊れないが、一定期間塩漬けにすると毒気が消えるという。食べてみると塩みが強く濃い味で、日本酒に合いそうだ。それにしても、最初にこれを口にした昔の人は、結構な勇気の持ち主だ。

ふぐの子ふぐの子試食説明

茨城県では戦前から、冬の農閑期を利用してコンニャクを乾燥させる「凍みコンニャク」を作っていたという。しかし過酷な製造環境から一時は全国でも生産しているところは1件ほどになってしまったそうだ。現在では周辺地区を含め3件ほどで生産しているとか。乾物なので日持ちがよく、湿気を避けると50年以上保存できると言われている。ブースでは凍みコンニャクのフライが試食できたが、プリプリとしていて美味しかった。二世代に渡るほどの長さで保存が利き、通常のコンニャクとは違うレシピが楽しめるところが魅力だ。

凍コンニャク凍コンニャク

 

 

獺祭の名前を冠した奈良漬。商品に隠された地域創生の意図とは?

「山口」県なのに「奈良」漬けを出品していたブースがあった。黄金色なのが特徴というこの奈良漬けは、山口県の銘酒、獺祭(だっさい)で漬けている。商品に獺祭の名前を冠するには許可が必要だそうで、取得しているのはこの商品のほかに1つだけだとか。その理由のひとつに、契約農家による障がい者雇用がある。奈良漬けの原料となるうりの栽培を障がい者が手伝っているとか。地域創生のひとつとして農家で障害者を雇用する動きが活発化してきているが、この取り組みもそのひとつだろう。

山口県ブース奈良漬け試食

興味を引いたのは、もなかのOEMだ。和菓子には欠かせないもなかだが、最近はペーストを包むなど食事の前菜としても利用されているという。米を熱して焼き上げるもなかだが、作るのには温度や湿度、米の状態などを見極めるなど、専門の技術がいるという。新しくもなかを商品に使いたいと思うと、金型などの機材を準備し、素材を確保するところから始めなければならない。餅米によっても香ばしさや味が異なるため、最中に適した素材を探すことや、それに合った焼き方の技術を習得することも重要だ。その労力を省き、かつ品質のよいものを提供できるのは、大きなメリットだ。この企業のもなかは、米100%の餅のような板を金型に入れ、焼き上げる。その板の形が、焼き上がりの表面にも残っている。これが手作りの証拠だそうだ。食べてみると、サクサクとしていて香ばしい。もなかの概念が変わる体験だった。

もなかのOEM絵柄加工品もなかのOEM

もなかのOEMもなかのOEM

ますます熱くなっているインバウンドおよび輸出需要

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ますますインバウンドが増加している。こうした中で、出展者側もインバウンドや輸出に目を向けるところが増えてきた。

福島ブース福島ブース

中国や韓国といった文化の近い国や、ヨーロッパ、アメリカなどのキリスト教文化はそこそこ日本に馴染みが深いが、イスラム文化はそれほど身近というわけではない。「ハラール醤油」という商品が目にとまった。醤油にハラール認証がついているのは少し意外だが、豚由来の原料以外にアルコールの添加もNGなのだとか。そのため、醤油に添加されるアルコールが障害になる。ハラール認証は国や団体によって多少レギュレーションが異なるといい、シンガポールのものは「製造中に生じたアルコールはその限りではない」という規定があるとのこと。通常の醤油には保存のために後からアルコールが添加されるものがほとんどだという。アルコールを避けると、安息香酸などの保存料を添加することになる。しかしこのハラール醤油は、自然のままに醸造しているといい、その上で自然に発生した3%ほどのアルコールが保存の役割を果たしている。ハラールとは、イスラム法において合法なもののことをいうが、そのほかにも健康的、清潔、安全、高品質、高栄養価という意味があるそうで、その認証はムスリム以外の人にとってもメリットが大きいのだ。認証を受けるために、自然の工法に立ち返ったというわけで、自然派、無添加嗜好の方にもお勧めだろう。

ハラール醤油

インバウンドや輸出を意識したという「糸を引かない納豆」も面白い。西洋人は納豆を水で洗って粘り気を取ってから食べるという話を聞き、開発したのだとか。その他、納豆で作ったワッフルなどもあり「なぜ納豆でつくった?」と思う商品も。しかし海外では健康食としての認知度も高まっており、より食しやすい形を提供していきたいとのことだ。

糸を引かない納豆

海外の中の日本であることを無視できない流れ。そこにビジネスチャンスがある。

FOODEX JAPAN主催者である日本能率協会の展示会担当者は、国内出展ゾーンについてこう語る。

「国内はもちろん、海外の市場も見据えていることでお客様からは評価をいただいています。今は日本人同士の取引であっても、メーカーが意識をしなくても、バイヤーはインバウンドを見据えています。海外の中の日本であることを無視できません。「うちは関係ないから」と言っていられる時代ではないのです。かといって海外を見据えていきなり海外の展示会に出展しても、言葉だけではなく文化の違う国に自社製品をどう説明したらいいのかわからずに、高い成果を上げられずに戻ってきてしまうこともあるようです。FOODEXでは輸出商品を取り扱うゾーンもあり、ビジネスの基礎を見つける場所としてもFOODEXを活用していただけると思います」

日本能率協会の展示会担当者

国内出展ゾーンは、ブースごとに色が異なり、各地方の特徴がよく出ていた。それだけ、出展者の意気込みが伝わってくる。会場にいた外国人に声をかけて「なにか面白いものが見つかったか」と聞いてみたところ、彼はオーストラリアで飲食店を経営しているそうだ。その食材を求めて来たというが、日本語が読めないのでとても商品を覚えきれないという。国内出展ゾーンでも多言語対応が必要になってきたということだろう。せっかくのビジネスチャンスは逃さずに活かしたいものだ。会場ごとに来場者が求めるものも変わってくる。どこで出展するかも、自分たちの目的に合わせて見極めたいものだ。

食は、文化や歴史の集大成だ。地方の食材を知ると、その地方がよくわかる。東京にはなんでも揃っているが、ご当地でしか味わえないものがたくさんある。去年、高知に行ったのだが、カツオのたたきに魅了され、そのためだけでも高知に行きたいと思っている。あの値段であの品質は、やはり東京にはないのだ。年に1度の祭典で、ぜひご当地愛を振りまいて欲しいと思う。

FOODEX JAPAN 2018(第43回 国際食品・飲料展)』

■会期 / 2018年3月6日~9日

■会場 / 幕張メッセ 1〜11ホール

■来場者数 / 7万2,428人(4日間合計、海外9,931人)

■出展者数 /3,466社

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