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一般社団法人日本能率協会
2018/03/30

純白のブースに込めた3つの思いとは? 『FOODEX JAPAN 2018』に臨む福島県ブースの取り組みに学ぶ

幕張メッセ(千葉県)で3月6日(火)から9日(金)まで開催されたアジア最大級の食品・飲料専門展示会『FOODEX JAPAN(フーデックス・ジャパン) 2018』(第43回国際食品・飲料展)には、国内外の3000社以上が出展。ブース数として見ると、大小合わせて約4000にのぼり、活況に包まれた。約8万5000人を見込む来場者の多くは、食品・飲料の購買担当者、いわゆる食品バイヤーたちだ。

商談や情報収集をスムーズに進めるためにも、地産外商や産業振興に展示会を上手に活用していた自治体の取り組みには、ぜひとも注目したいところ。県としての取り組みに力を入れる自治体のひとつとして、ここでは福島県に注目してみよう。

食の資源が多すぎて絞り込みが課題

福島県は全国で第3位という広い面積を有し、海も山もある食の資源の豊富な県だ。地形により、南北に走る奥羽山脈から新潟寄りは“会津(旧若松県)”、奥羽山脈と阿武隈高地に挟まれる中央の“中通り(旧福島県、阿武隈地方)”、そして太平洋に面する“浜通り(旧磐前県)”の大きく3つの地域に分けられ、それぞれ気候、文化、歴史的に異なる背景を持つ。

農産物も地域によってさまざまで、果物ひとつとっても、中通りの桃、梨、あんぽ柿、浜通りのイチゴ、イチジク、会津のみしらず柿など、地域により多様な特産物を持つ。

海のある浜通りではカツオ、ウニ、サンマ、あんこう、鮭、ほっき貝、アサリ、海苔といった水産業はもちろん、牛肉などの畜産業も盛んだ。中通りには稲作がさかんな郡山市をはじめ、温泉卵の発祥の地、飯坂温泉もある。また、会津地方の喜多方市や中通りの白河市は、地域で独自のラーメン文化を築いて全国に知られている。

「福島県は大変多くの食の資源を抱えることが強みである一方、それがゆえに県全体となったときには『福島と言ったらこれだよね』という、ひとつに絞り切れないことが課題になっています」と語るのは、福島県の県産品振興戦略課長の市村尊広氏だ。

スペースに限りのある展示会では“いろいろあります”ではかえって目立たない。そこで、市村氏は『FOODEX JAPAN 2018』への出展にあたって、焦点を当てる切り口を2つ設けたという。

ひとつは“日本酒”だ。全国には酒処と呼ばれる地域は大小無数にあるが、福島県も美味で鳴らす蔵元を多数擁し、昨年は全国新酒鑑評会金賞受賞数で5年連続日本一を達成した。金賞受賞数は、実に22銘柄にのぼる。そこで“日本一の酒処ふくしま”として打ち出し、今年も6年連続を目指して、注力していく姿勢を見せる。

2つめの焦点は果物。先述の通り、福島県には良質な果物も多く、特に桃は皇室・宮家への献上桃として指定される高い品質の桃を産出する。もちろん、日本酒と果物以外も展示するが、特に力を入れてアピールするのがこの2つとなる。

福島県の思いを伝える純白のブース

一方で、福島県ブースでは、展示の方向性についてもテーマを決めて臨んだと市村氏は語る。

「テーマは“純白”です。いろいろな意味を込めていますが、大きくは3つです。ひとつは“シンプルさ”の象徴。食品に添加物などをごてごてと加えたりせず、素材を活かした食材、食品を用意しています。2つめは“真っ白な気持ちで展示商品を見て欲しい”という願いです。いま福島は風評や不確実な噂も課題になっていますが、来場者のみなさまには、そうした雑音を排除して、福島の食は安心安全だよと伝えたいですね。最後は“私達は何の色にも染まっていませんよ”という、自分たちの気持ちの現れです」

この“純白”というテーマに沿って、展示ブースは真っ白な壁で覆い尽くすキューブ型になった。『FOODEX JAPAN』では、例年、色とりどりの賑やかなブースが沢山並ぶが、その中で敢えて真っ白なブースで臨むことにより、来場者の目を引こうという狙いだ。ブースを壁面で囲うのも、目に入る白の領域を増やすため。商品は壁の中に納め、通路側からは見えないように隠してしまう計画だ。

実は福島県は、昨年も紺一色のシックなデザインを採用した。地味ではあるが、それがかえって目を引いたと考えている。そこで今年もブースを一色で統一する方向性を採用することになった。どうせ一色にするならば、ひときわ目立つ色で、なおかつ来場するバイヤーたちにメッセージが届けられる色にしたい。そして“白”が選ばれたというわけだ。

「ちゃんと思い通りの白が綺麗に出せるかどうかが、一番苦労したところです」と市村氏は笑う。

バイヤーをいかに誘導するか、運営の工夫にも期待

食品

食品関連の展示会は、当然ながら『FOODEX JAPAN』以外にも、たくさん開催されている。その中で敢えて『FOODEX JAPAN』に出展するメリットについて、福島県はどのように考えているのか。市村氏にお訊きしてみた。

「『FOODEX JAPAN』には長年出展していますが、一番の魅力は来場者が国内外から集まることです。福島県の地産外商は海外も視野に入れています。このため、国内だけに限定した展示会とは違った新しい繋がりが期待できます」

和食がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど、日本の食文化は、いま海外から熱い注目を浴びている。グローバルな展開を狙うだけに、海外からも多くのバイヤーが訪れる『FOODEX JAPAN』は外せない展示会として位置付けられているようだ。

とはいえ、国内外から多数の出展者と来場者が集まるがゆえに“会場が広くなりすぎる”のが『FOODEX JAPAN』の課題だと市村氏は指摘する。

「どんな会場でも隅っこは必ずできます。会場が狭ければ隅っこでも来場者の足は延びますが、会場が広すぎると来場者の足はなかなか延びてきません。出展するブースが、広すぎる会場の端のホールのさらに隅などになっても、我々はブースエリアの中だけでしか工夫できません。主催する運営事務局が主体となってもっと来場者の足を、ホールの端々まで引っ張る工夫を凝らして欲しいですね」

展示会は新規のバイヤーを捕まえるだけの場ではない。取引(帳合)のあるバイヤーでも、普段なかなか会えない相手であれば、新商品を見てもらい、意見を聞く絶好の機会だ。とはいえ、多くのバイヤーは展示会場のあちらこちらに目的とするブースがあり、隅から隅まで見て回る時間はない。そんな既知のバイヤーをきちんと捕まえて見てもらうには事前の連絡なども欠かせないだろう。まして、新規のバイヤーの興味を引くにはできる趣向は凝らしておくことが必須。福島県ブースでは、来場者の流れまで考慮するなど、万全の構えで臨む。

広すぎてブースがどこだか分かりにくいとならないため、アイキャッチになりそうな真っ白なブースを用意した福島県。『FOODEX JAPAN 2018』の福島県の取り組みには、展示会をフル活用するための“極意”が詰まっているはずだ。

 

  

『FOODEX JAPAN 2018(第43回 国際食品・飲料展)』

■会期 / 2018年3月6日~9日

■会場 / 幕張メッセ 1〜10ホール

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