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一般社団法人日本能率協会
2018/01/09

新しい和食の姿を垣間みられる 『和食産業展 2017 秋』がおもしろい!

各地域が期待を寄せる新品種の“米”に注目

和食や飲料、テーブル、キッチンウェア、厨房設備の総合的な展示会である『和食産業展 2017 秋』(以下、和食産業展)が、11月20日〜11月22日の3日間に渡り、東京ビッグサイトで開催された。

日本人にとって身近な和食だが、2013年にユネスコ無形文化遺産へ登録されたこともあり、いま世界中から脚光を浴びている。また、2019年、2020年と、スポーツの大きな国際大会開催を控え、各業界でインバウンドへの対応が迫られており、和食産業でも新たな潮流が見えはじめている。ここでは、和食産業の将来が垣間見えた『和食産業展 2017 秋』の見どころポイントをレポートしていこう。

今回の和食産業展で、メインとなっていたのは、やはり“米”だ。和食の基本であり、米なしに和食は語れない。和食産業展の担当者は「和食という括りになると、お米は欠かせない要素ですね。今回から、和食産業展は開催の時期が秋に変更されましたが、この時期は全国の米どころが収穫の時期を迎えますし、定番だけではなく、各地のお米にスポットを当てたかったんです。改めて、お米を見直してほしいですね」と語る。

彼の言葉どおり、会場には米どころのブースが16コマ並び、2008年に山形県で奨励品種に指定された『つや姫』をはじめ、選りすぐられた各地の米が出展されていた。将来、この中から“コシヒカリ”や“ひとめぼれ”に匹敵する米が生まれるのかもしれない。

つや姫つや姫

『つや姫』は、山形県が1998年から約10年の開発期間を費やして、生み出された新しい世代の米。10万分の1の確率を潜り抜けて誕生した『つや姫』の味は、甘味や粘り気に優れ、同県の人気品種コシヒカリを凌ぐと言う。

食材や調理法だけでは足りない和食の世界

和食産業は、食材だけが支えているわけではない。今回の和食産業展でも、キッチンウェアやテーブルウェアなど、食材以外を扱う企業の出展も多数みられた。

中でも印象的だったのが、業務用のどんぶりの製造で知られる企業のブース。器の形状や模様など、自在に加工できる技術を備えており、飲食店の関係者だけでなく、ホテル・旅館経営に携わる来場者が、自身の施設で使う食器などを吟味する様子も見られた。
展示されていた器には、オーソドックスな和風の器のほか、金箔や歌舞伎模様など、わかりやすい“和”の演出が盛り込まれた器もあり、ここでもインバウンド需要を意識した製品が目立っていた。

和風の器歌舞伎模様の器

同社のどんぶりは厚すぎず、薄すぎない程よい厚み。和風のデザイン柄を用いて、うまく和食に合う器に仕上げながら、業務で使用しても壊れにくい丈夫さも実現していると言う。

味だけでなく、見た目の美しさもこだわる和食は、どのような器に盛り付けるかも含めて、ひとつの料理とも言える。食材だけでなく、器やサービス面なども、和食を楽しむために欠かせないファクターなのだ。

器と並び、和食の重要なファクターを担っているのが“水”だろう。前述の展示会担当者は「料理人の方は、調理する土地の水質も気にすることが多いです。わかりやすい例では、沖縄で料理を作ると、水質が異なるので違った味に仕上がりますし、海外で出汁をひくと、日本で作るのとは全く異なった風味になります。ミラノ万博に出展した料理人の方は、浄水器を使って、なるべく和食に合う状態にした水を使って出汁をひいたという話もあるんですよ」と水の重要性を語る。

今回の和食産業展では、業務用・家庭用問わず浄水関連の製品を広く展開している企業が、“和食のためのクリンスイ”をテーマとしてブースを出展していた。同社によれば、お茶・米・出汁は、それぞれ最適な水質は異なるという。ブース内に展示されたポット型浄水器『JP407-D』は、ポット内にイオン交換樹脂を使用。開発担当者が出汁の抽出と試飲を重ね、開発したカートリッジは、水道水や一般的な浄水器を通した水と比較して、出汁の旨味成分がより多く引き出せるという。
実際に試飲した印象では、水道水の臭みが抑えられ、出汁の味がしっかりと引き出され、“水の違い”を実感。出汁や調味料の繊細な組み合わせで味が決まる和食では、水が異なるだけで大きく風味が改善する。このブースも試食を求める来場者で賑わっていた。

和食のためのクリンスイ和食のためのクリンスイ

もっとも違いがよく感じられたのは“出汁”用の水だ。水道水でひいた出汁は、水道水特有の臭みが感じられ、出汁の味も微かなのに対し、クリンスイでひかれた出汁は、水道水の臭みがまったく感じられず、出汁が力強い印象。特に食通でもない筆者でも、大きな違いが感じられたこの浄水器なら、導入すれば顧客に“違い”が届きやすいのではないだろうか。

食材や文化のマリアージュが新しい和食を生み出す

和食産業展という名称から、食材も“和”にまつわるものばかりと考えていたが、会場には、ワインを展示しているブースの一角もあった。和食でお酒と言えば、日本酒や焼酎になるが、じつはワインと和食の相性は悪くない。
比較的、淡白な味わいの料理が多い和食とスッキリした風味の白ワインは、以前からマリアージュとして紹介されることが多かったが、ユネスコ無形文化遺産への登録以降は、赤ワインとの組み合わせも注目されている。タンニンに富みコク深い赤ワインは、醤油とじつに相性が良いのだ。新たな出会いを得て、首都圏を中心に、和食とワインのマリアージュを楽しめる店は着々と数を伸ばしている。
その流れを受け、和食産業展でも“和食に合うワイン”をテーマとして、会場に出展コーナーを設けたカタチだ。
また、今回はワインインストラクターの認定で知られる一般社団法人が主催する審査会『"SAKURA" Japan Women's Wine Awards』(以下、サクラワインアワード)の受賞ワインの試飲会も実施。来場者は“日本の食卓に合う”として選ばれたワインを堪能していた。

すき焼きや寿司、鉄板焼きに合うワイン

すき焼きや寿司、鉄板焼きに合うワインというテーマでの出展ブースも見受けられた。

試飲ブース『サクラワインアワード』を受賞したワイン

会場の一角では『サクラワインアワード』を受賞したワインを提供。いくつものワインを試飲する来場者の姿が目立った。

しかし、和食産業展でありながら、洋酒であるワインを大々的に扱うのは、少し意外に感じる。和食産業展にワインの出展コーナーを設けた意図も日本能率協会の担当者に聞いた。
「和食と白ワインの相性の良さは、以前から知られていました。ユネスコ無形文化遺産への登録をきっかけに、赤ワインとのマリアージュも模索され、新しい組み合わせが試されていますね。ワインに限らず、和食と相性の良い海外の食材はまだまだあると思います。一方で、海外の食材を使い和食のようなアプローチということも考えられます。たとえばフォアグラの醤油漬けにした料理など、ワインのつまみにおすすめです。2020年を控えて、海外から日本に来られる方も増えますし、今後は“洋”を取り入れた、新しい和食の企画もおもしろいと思います。次回以降は、ぜひ海外の食材を使った日本食の提案ができる企業に出展していただきたいですね」
海外から日本を訪れる観光客が増える中、ワインに限らず、伝統的な和食には見られなかった組み合わせは、業界全体として見ても注目度が高まっているのだ。

日本能率協会の担当者

「お米は継続して大きなテーマとして取り扱っていきたいですが、調理法や、見せ方も和食の一部。今後はそういった内容の展示も増やしていきたいと考えています」と語る。

一方で、海外との食文化の違いへの対応も、和食にとって課題のひとつとなっている。日本に住んでいると気づく機会は少ないが、ベジタリアンフード、ハラルフードなど、文化や宗教上の理由で、特定の食品が制限される人は非常に多い。近頃では、大手企業もカフェインレスの飲料を発売したり、動物性タンパク質を含まない食品を開発したりするなど、個人の主義や宗教に対応したメニューを提供する飲食店も登場している。「食文化は時代とともに移りゆくものです。ハラル対応なども課題のひとつですね」と語り、新しい和食の可能性を求める。

元来、食と文化は密接に結びついているもの。和食産業展は、単純な食材の組み合わせということではなく、宗教や文化を踏まえた和食も提案できる構えだ。“和食”という枠組みに捕らわれず、新たな和食の可能性を追求できる企業は、この和食産業展でビジネスチャンスを掴めるかもしれない。

和食産業展 2017 秋

■会期 / 2017年11月20日〜22日

■会場 / 東京ビッグサイト

■来場者数 / 7218名(3日間合計)

■出展者数 / 81社(105ブース)

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