ようこそ、展示会!ビジネス・産業振興のために

一般社団法人日本能率協会
2017/04/10

和食からWASHOKUへ。多くの海外バイヤーも注目した『和食産業展2017』

和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて4年。それまでも和食と言えばヘルシーで繊細なことで知られていたが、インバウンドも活発な現在、世界中でますます需要が高まっていくだろう。和食産業展は、和食に関する食品、飲料、テーブル・キッチンウェア、厨房設備に関する専門展示会だ。

ハラール、ビーガンなど多様化する食文化の中で、世界に誇る日本食に特化した和食産業展は、よりピンポイントに、ダイレクトにビジネスチャンスを広げることができるだろう。

 着物女性パンダとタケノコ

​グルテンフリーの波が和食の流れを変える!

数年前、プロテニス選手のノバク・ジョコビッチが、小麦粉アレルギーだったことを公表してから、にわかにグルテンフリーブームが湧き起こった。長くランキングの上位にいながら、トップに勝ち上がりきれなかった彼が、小麦粉カットを実践した途端、世界ランキング1位に駆け上ったのだ。ことさらにグルテンフリーの効果は注目を集めた。

「一般消費者には自社商品が浸透したが、外食産業に参入したい」と出展をしたのは、キャッチーなブランド名で話題の豆腐メーカーだ。豆腐市場は年間5億円だが、外食産業は10兆円。企業としての可能性を測るなら、伸びしろは歴然だ。とはいえ「最近は糖質カットが流行。ご飯の代わりに食べるものとして、豆腐が注目され始めている」という。確かに、炭水化物の代わりに食べるものとして豆腐は味が淡泊なのでほかの料理の邪魔をしないし、食感も柔らかいのでうってつけだ。会場では、バジルなどの味つけ豆腐の試食を展開していた。

刺身干物

来場者の注目を集めていたのは、海鮮卸の企業だ。

いくつもの刺身や焼き魚をふんだんに展示ブース前面に盛っている。中にはのどぐろといった高級魚まであり、なんとも気前がいい。担当者に聞いてみると、

「うちは商品には絶対の自信があります。商品は私たちの財産ですから。それをみなさんに召し上がっていただき、質の良さを感じていただきたい。1000人に食べてもらって、そのうちの50人と具体的に話をして、結果的に5人と関係が作れればOKだと考えています」

確かにどの魚も新鮮で抜群に美味しかった。いつでもブースの前には試食をする来場者でいっぱいだ。話を聞きながらも筆者がつまみ食いをしていると、

「マグロもすぐに出るからそれもぜひ食べていって!」

と勧めてくれる。プレスの札を下げた筆者は、明らかに商談相手になる対象ではないのに、気前がいいのにも程がある。

「三崎というとマグロのイメージがあるけど、それを払拭したい」という。

確かに、三崎はマグロの街だ。一度訪問したことがあるが、見渡す限りマグロ関連の店が建ち並び、お土産もマグロ、レストランもマグロだった。もともと三崎のマグロは有名だが、訪れたことのある人にとってはさらに印象が強いに違いない。しかし今回の出展で、深く根付いた「三崎=マグロ」の印象は、かなり緩和されたように思う。どの商品も、試食とは思えない美味しさだった。それだけでも出展の目的の1つは達成したのかもしれない。

和食産業展に限らないが、食品はやはり実際に食べてみないことには、なにもわからない。そしてその中には金の卵が混じっているかもしれない。「1000人のうち5人と関係が作れればそれでOK」という姿勢は、展示会出展の心得かもしれないなと感じた。

​食材だけではない。器、厨房機器など全てが和食産業を支えている

調理実演和菓子

試食で大盤振る舞いといえば、厨房機器メーカーだ。実際に自社製品を使って、さまざまなレシピを解説しながら調理し、できたものを提供していた。調理しているのは社員だが、元はホテルの厨房で働いていたスタッフだという。実際の厨房の状況を熟知しているからこその、説得力だ。

社員に聞いてみると、

「弊社の商品は、一度に異なる食材を調理しても匂いが移らないオーブンや、1台で何役もこなす調理器、外側が熱くならないオーブンなど、狭い厨房でも使い勝手がいい商品が多いんです。洗浄もしやすく、日本のレストランやカフェ、ホテルの厨房にとても適しているんです」という。

使い勝手の良さはイコール手際の良さや味の向上につながる。あっという間に作り上げた大量のメニューを次々と提供していた。

料理

OEM商品をメインに製造していた企業も出展していた。「コンビニに卸していたが、そろそろ自分たちの名前を出して自社製品を売っていきたい」という。

筆者は大手コンビニの取材本を作成したことがあるが、全国どこへ行っても同じクオリティの商品を提供するため、コンビニ食材は審査が厳しいのだ。一定量の提供ができるか、産地まで溯って追跡できるかなど、各種条件をクリアしなければ採用されない。コンビニでOEMをしていたという実績は、大きな品質保証でもある。

ブースには海外からのバイヤーが多く、レストランや卸が興味を持っていたという。確かに、つみれはアジア全般で好まれる食材。味つけ次第でその国の料理として使えそうだ。

「和食」に特化している分、来場者もピンポイントだ。和食に興味がある外国人バイヤーや居酒屋など。海鮮卸の企業は「卸業者は通常、FOODEXに出展するので、あえて和食産業展への出展を選んだ」と言っていた。「あえて」はつまり戦略だ。ピンポイントなターゲットを捕まえやすいだろう。こちらも、外国人バイヤーからの興味を引いたという。

和食というのは食材や調理方法だけではない。飾り付け含めて『和』という文化を総合的に打ち出していくべきだ

飾り花生け花

一方で、ちょっと変わった出展理由もある。

花器メーカーのブースに行くと、展示してある花器に花を生けている男性がいた。聞いてみると、この男性は隣のブースに出展している華道家だそうだ。「花器はお花を生けてなんぼでしょ!」と、いうことで声をかけ、急遽コラボレーションが決まったそうだ。こうした出展者同士の出会いもステキだ。「和食」をキーワードに集まった者同士で、新たなビジネスが生まれるかもしれない。出会いは、出展者と来場者だけではなく、その周辺にも可能性があるのだな、と感じた出来事だった。

和食産業展では、出展者から「海外からのバイヤーが多かった」との驚きの声をよく耳にした。日本市場への興味はもちろん、日本の食材や製品に対しても、海外からは熱い視線が送られているのだ。

「和食」ではなく、「和食産業」と展示会名を銘打っている理由を振り返って考えてみた。食材や調理方法だけではなく、日本文化やサービスを含めての「和食産業」なのだし、お互い様々なコラボレーションーー手をとりあうからこその発展や、価値の向上につながっていくのではないか。

展示会を通して「和」という我々の文化をもう一度振り返り、国内外に広く宣伝していくことができると思えた。

てまり寿司和食産業展

和食産業展2017

■会期 / 2017年3月7日~10日

■会場 / 幕張メッセ

■来場者数 / 5万2,824人(4日間合計、他の同時開催展の入場者数を含む)

■出展者数 /61社(79小間)

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