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一般社団法人日本能率協会
2018/05/23

エンジニアの視野を広げ、スキルを深掘りする 研究・設計・生産技術の祭典 『TECHNO-FRONTIER 2018』

9つの専門展示会で構成

4月18日~20日の3日間に渡り、幕張メッセ(千葉県)で開催された『TECHNO-FRONTIER 2018』は、448社/870ブースが出展するメカトロニクス・エレクトロニクス分野の要素技術と製品設計を支援する専門展示会だ。専門性の高さが魅力で、技術シンポジウムでは最新の技術動向も学べる。

TECHNO-FRONTIER 2018

初日は雨にたたられ鈍い出足となったが、残る2日は晴天に恵まれて来場者数は3日間の合計で19,792人。隣接ホールで同時開催した『第4回 国際ドローン展』と『第3回 駅と空港の設備機器展』も含めると、29,072人もの来場者を集めた。

『TECHNO-FRONTIER 2018』は9つの専門展示会で構成する見本市だ。今回が36回目となる『モータ技術展』を中心に『第27回 モーション・エンジニアリング展』『第11回 メカトロニクス技術展』『第2回 機械部品・加工技術展』『第33回 電源システム展』『第10回 エコ・パワーソリューション展』『第31回 EMC・ノイズ対策技術展』『第20回 熱設計・対策技術展』『第1回 AI/IoT活用技術展』と、関連する複数の展示会を同時に実施することで、来場者に新しい発見やヒューマン・ネットワークが生まれるよう工夫している。ここではこの9つの展示会を俯瞰し、今年のトレンドや注目ブースなどを見ていきたい。

見学者が息を呑むカットモデル

まず最初に紹介したいのは、企画コーナーの『自動車カットモデル展示コーナー』と『「分解!スゴイ製品その中身」展示コーナー』だ。

自動車カットモデル展示コーナー「分解!スゴイ製品その中身」展示コーナー

『自動車カットモデル展示コーナー』は恒例になりつつある、市販の自動車を切断したカットモデルの展示。今年も大変注目され、開場直後から多くの見学者で賑わった。カットされたエンジンやモータ、シャーシなどは、LEDの点滅やラベルテープで機構が理解しやすくなっており、手を伸ばしてスマホで撮影する見学者も多く見られた。

「分解!スゴイ製品その中身」展示コーナー「分解!スゴイ製品その中身」展示コーナー

『「分解!スゴイ製品その中身」展示コーナー』は、昨今話題の電化製品をパーツ単位に分解し、実物や写真で展示したもの。電動自動車、AIスピーカー、電子タバコ、スマートフォン、ラジコンロボ、ネットショッピング端末を分解しており、こちらもたくさんの来場者が興味深そうに見て回っていた。

通常の展示会では来場者の多くはバイヤーが占め、会場で新しい商材や取引先を探し、アポを取ったり商談まで進む場合もある。だが、『TECHNO-FRONTIER』は来場者の半数以上がエンジニアや研究者が占める。その多くは新しい部材や技術を選んだり、学ぶために訪れる。普段はあまり見る機会のないカットモデルや分解の展示にがっぷり食いつき、細部まで真剣に眺めていく来場者の多いのも、『TECHNO-FRONTIER』ならではの特徴と言えるだろう。

この来場者特性はブースを出す出展サイドもよく理解しており、多くの展示ブースでは技術に明るい者を立たせて来場者への説明に当たる。これにより、来場者だけでなく出展者のスタッフも情報の収集や交換が自然とでき、人材育成の役にも立つ好サイクルができあがっている。

メカとエレクトロニクスの最新情報が目白押し

『TECHNO-FRONTIER』の中で、最も長い歴史を持つ『モータ技術展』は、会場がいちばん広くブースの数多い。小さなものから大きなものまでさまざまな種類のモータやパーツはもちろん、高精度なモータ制御技術などが目白押しだ。インバータやアクチュエータ、エンコーダ、ジョイント、ギアなど、モータ周辺で利用する機材や工具、さらにはモータの性能を引き出すモータドライバまで所狭しと並ぶ。

モータ技術展

モータとは切っても切れない磁石関連も、これだけ多くの出展者が軒を連ねる展示会はそう多くない。磁界制御やマグネットアナライザ、フラックスメータ、着磁ヨークなど、マグネット関連の豊富な商材がずらりと揃っていて印象的だ。

ある出展者は「当社が新製品を出すのは数年に一度だが、我々の業界は出ていける展示会がそもそも少ない。新規の顧客を見つけることよりも、新しい情報を集めたり、お得意様と挨拶することに重点を置いて毎回出展している」と語る。

双方向コンバーター磁力回転装置

ロームSiC開発の歴史USB-PD

Delta Grid EZQCインフラソリューション

『モータ技術展』の次に広い面積を占めていたのが『電源システム展』だ。モータ同様、さまざまなタイプの電源が揃い、蓄電池や直流安定化電源、ACアダプタなども、より省スペースで大容量を実現したり、信頼性の高さを訴求したもの、取り回しに優れたものなどバラエティ豊かな展示内容になっている。WindowsやMacで動作する、回路設計のためのシミュレーターなども最新のものが見られた。

また、ディープラーニングやデータマイニングに最適化した電源装置も目に付いた。ディープラーニングやデータマイニングは24時間365日、フルタイムで安定的に稼働し続けることが求められる。当然、CPUやGPUの性能のみならず、それを支える電源装置や排熱機構も性能や信頼性がより重要になる。今後、ますます重視されそうな分野と言えそうだ。

スタック製熱電発電ユニット展示物

モータや電源、半導体から出る熱をどう処理するかは、優れたシステムを構築するうえで避けて通れない課題。『熱設計・対策技術展』では、そんな熱関連の課題解決のソリューションが集まる。手のひらからでも発電できる微熱発電ユニットや、ハサミで形状を整えられる厚みムラのない放熱シートなどが目を引いた。

EMC(高いノイズ耐性)を持つモータや電源、電子部品などコロナブース

『EMC・ノイズ対策技術展』では、電磁障害やノイズを低減させる製品や技術のソリューション。電磁シールドなどのノイズ低減システムはもちろん、EMC(高いノイズ耐性)を持つモータや電源、電子部品、あるいはEMCのテスト用機器などが集まっており、『モータ技術展』『電源システム展』に次ぐ出展数で賑わっていた。

スマートフォンに回路を取り付け、テーブルの上に持っていくだけで充電するシステム電源システム展

ワイヤレス充電デモ展示

『エコパワーソリューション展』で目立っていたのは、ワイヤレス電力伝送だ。『電源システム展』のブースで展示しているところもあり、トレンドになっているのを感じる。

稼働させながら充電できるシステムや、テーブルやパレットなどを貫通させるシステム、傾斜状態で伝送距離が20cmでも10kW前後の出力が得られるシステムなども展示していた。実際のスマートフォンに回路を取り付け、テーブルの上に持っていくだけで充電するシステムなどもあり、カバンに入れたままカバンごとテーブルに載せれば充電できる仕様を目指している。

エクセレントカンパニー展示展示の様子

展示物AI搭載けん玉

今回初めての開催となった『AI/IoT活用技術展』にも触れておきたい。ここは近年急速に発達しているAI(人工知能)技術に焦点を当て、AIを活用する技術や製品を紹介するもの。こう書くと難しそうに感じるが、高齢世代と孫世代を繋ぐAI搭載けん玉など、一際ユニークな展示が目に付くコーナーでもあった。

自動運転支援技術の集中展示

『AI/IoT活用技術展』では、自動運転支援技術の集中展示もなされた。自動運転を見据えた次世代自動車開発に不可欠な製品や技術提案を集めたもので、ハンドル操作やギアチェンジを自動制御するデモなども展示していた。

社内のエンジニアを育成する貴重な機会

モータや電源、EMC関連のブースを周ると、ほかに類似の展示会が少ないことや、30回を超える老舗の展示会でもあることから“年に一度の同窓会”や“顔を出さないと業界内で心配される”と相好を崩す関係者も多い。業界内で情報交換や顔合わせにも大いに活用されている展示会なのだ。

日本能率協会の国分 克則さん

同展示会の運営を担当する日本能率協会の国分 克則さんは「『TECHNO-FRONTIER』は、国内メーカーの技術者を対象とした展示会で、すでに30年以上続いています。製品やサービスそのものだけではなく、競争力を高めるツールなども豊富にみられます。また、技術振興展も同時開催していまして、製品だけでなく、技術の紹介もしています。シンポジウムに参加者は、8割以上がメーカーの技術者になりますね。そのため、単純な商談だけではなく、出展企業どうしのコラボレーションに至るケースもあります。特に新たな分野に挑戦している企業は、出展するメリットを感じているのではないでしょうか」と語る。

繰り返しになるが、来場者の多くがエンジニアであり、エンジニア同士のコミュニケーションにはもってこいの場にもなっている。『TECHNO-FRONTIER』への出展は、自社の製品や技術のお披露目に留まらず、業界内での認知向上や、社内のエンジニア育成の貴重な機会になるに違いない。

TECHNO-FRONTIER 2018』
■会期 / 2018年4月18日~20日
■会場 / 幕張メッセ
■来場者数 / 1万9792人(3日間合計)
■出展者数 /448社(870ブース)

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