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一般社団法人日本能率協会
2018/05/23

展示会にも吹き込まれた技術革新の風 初開催『AI/IoT活用技術展』で垣間見れた 進化著しいAI技術の現在地点

AI・IoT活用の基盤となる基礎技術の数々

国内人口の減少による労働力不足が今後避けられない状況にある中、技術の進歩が急務となっているのが“AI”(人工知能)や“IoT”(モノのインターネット)といった分野だ。4月18日~20日に幕張メッセ(千葉県)で開催された『TECHNO-FRONTIER 2018』においても、その流れを受ける形で、今年より『AI/IoT活用技術展』がスタートした。

AI/IoT活用技術展

さまざまなビジネスシチュエーションに役立つAIの技術を紹介し、ものづくりの現場に広く普及、活用できる場をつくる一助となるべく開催された、この『AI/IoT活用技術展』。開催されているエリアに足を運ぶと、まだ初回ということで出展ブースの数こそ少ないがら、なかなか興味深い展示が多かった印象だ。

また、隣接ホールで同時開催されている『第3回 駅と空港の設備機器展』や『『第1回 パーキングシステム・設備展』では、実際にAI・IoT技術を導入したサービスも展示されおり、基礎的な技術からサービスとしての提供まで、AIやIoTを取り巻く状況を把握できる展示会となっていた。

『AI/IoT活用技術展』に出展していたブースの中でも、来場者の注目を特に集めていたのが、数社のパートナー企業とともに大規模な展示を行なっていた稲畑産業だ。

稲畑産業ブースAIによる位置情報分析プラットフォーム

そのパートナー企業のひとつであるレイ・フロンティアが展示していた『SilentLog Analytics』は、AIによる位置情報分析プラットフォームだ。ユーザーの移動手段・経路・歩数といった位置情報や行動情報、いわゆるライフログを記録。リアルタイムに分析することで、特定の地区にいる人数をヒートマップにして表示できたり、あるいは特定の人物にフォーカスして、その人の性別・年齢・職業・居住地といったペルソナの構築したりできるという。

いわゆるAI分野の基礎中の基礎ともいえる同社のサービスだが、すでにマーケティングリサーチをはじめ、観光客の動態分析など、さまざまな分野で広く活用されているという。

また、IoTに無くてはならないデバイスといえばセンサー類。今回の『TECHNO-FRONTIER 2018』でも、これらを扱う企業が多く出展し、いずれも意欲的な展示を行なっていた。

各種センサーソリューションの展示を展開していた日本アイ・ディー・ティーでは、ここ数年センサーとそのデータを取り出す通信を一つのモジュールとしてまとめるというビジネスが、かなり増えてきているという。

日本アイ・ディー・ティーブースガスセンサー

展示されていたガスセンサーは、そんなIoTを大いに意識した製品で、都市ガスやLPガスのほか揮発性有機化合物やホルムアルデヒドなど、通常の空気中には存在しない有毒性のある気体を検知するもの。このセンサーを無線に繋いてバッテリー駆動にすることで、今まで作業員が定期的に行なっていたガス漏れのメンテナンスが必要なくなるなど、工数の削減に大きく寄与するという。

このように、メカトロニクス・エレクトロニクスの世界において存在感を増しているAIやIoTの分野について『TECHNO-FRONTIER』を主催する能率協会の担当者はこう語る。

能率協会の担当者

「今回の『TECHNO-FRONTIER』において、大きなテーマは“AI”と“IoT”です。どちらも、業界全体が取り組まないといけないことですが、現状では言葉だけが広がっていて、実際にどういった分野で必要とされているのか、どのようにサービスへ組み込むのかといったことは、明確になっていない人が多いのではないでしょうか。『TECHNO-FRONTIER 2018』では、ものづくりの領域に絞って、AIとIoTを紹介されてます」

現時点でのAI・IoT技術の完成形とは

今回開催された『TECHNO-FRONTIER 2018』では、基礎的な技術や新技術の紹介にとどまっている印象だったが、同時開催している展示会『第3回 駅と空港の設備機器展』『第1回 パーキングシステム・設備展』では、AIやIoT技術を活用・応用したさまざまなサービスの一端が各社のブースで紹介されていた。

瑞穂のブース訪日外国人向け多言語案内ソリューション

瑞穂のブースで注目を集めていたのは、AIを持ったコミュニケーションアバターが画面内を動き回る『訪日外国人向け多言語案内ソリューション』。これは、AIを活用して、文章からアバターの動きを制御するというもの。さまざまな文字や画像が持つ意味をディープラーニングによって事前に学習させておき“こういう文章なら、こういう表現”というふうに、あらかじめ組み込んであるアパターが、紹介する文章に合わせて表情や仕草を表現する。その表現は数千億パターンもあるとのこと。

通常、キャラクターを動作させるには、あらかじめ動作パターンを決め、その動作に合わせたデータを作成する必要がある。ごく簡単な動作でも、狙い通りの動作をさせるには、時間が掛かる上に、費用もかさむ。それに対して『訪日外国人向け多言語案内ソリューション』では、テキストデータ(文章)を入力するだけで、アバターの動作がコントロールできるという。たとえば、キャラクターに紹介させたい内容を追加する際も、ユーザーはテキストを入力するだけ。アバターの動きは、自動的に文章へ応じたものに変更される。もちろん、音声合成も内蔵されていて、日本語で書かれた紹介テキストは自動で英訳してくれるほか、要望があれば中国語・韓国語など別言語にも翻訳可能になるという。

瑞穂ではこれを、今後海外からの客が増えると見込まれる駅・ホテル・道の駅などの観光施設に導入を広めていきたいとしている。

日本ユニシスブース空港運営を包括する基幹システム

また、日本ユニシスが提供している空港運営を包括する基幹システム『Unisys AOS(Airport Operations Suite)』も、AI・IoT技術がふんだんに活用されたシステムだ。今回の展示では、映像による監視サービスが紹介されており、行き交う来場者が興味深く眺めていた。

『Unisys AOS』は人の顔のデータを取るというものではなく、来客者のある程度の特徴を捉えて数値化することにより、今後、空港内のどのエリアが混雑するかを先取りで察知したり、またその結果を蓄積して保存しておくことで、混雑に関する統計的なものも取れるようにしたりできる仕組み。空港といえば何かと待ち時間がかかるのが常だが、これまではその手のデータが数値化されて分析されることがほとんどなかったという。しかし、このサービスを用いれば、プライバシーに配慮したうえで統計を取ることができるという。

空港という場所は、訪れる客がまったくの不特定多数であることから、上記のものも含めたカメラなどの電子機器やセンサー類を大量に用いた監視システムの整備は必要不可欠だ。『Unisys AOS』では、IoTを利用してセンサー類をコントロールし、センサーから得た膨大な情報をAIで分析することで、より効率的な空港運営を実現できるのだ。

R.O.DのブースAI画像検索

一方で、ネットワークカメラの録画機器を手掛けているR.O.Dのブースで紹介されていたのは『AI画像検索』というサービスだ。

これは、車・人・キャリーケース・傘などといったさまざまなキーワードを指定して検索できるシステム。セキュリティカメラが録画した膨大な映像の中から、その検索キーワードに合致したものが映りこんだところをリストアップしてくれるというもの。検索キーワードに関しては、サービスを導入しているクライアントからの要望を取り入れているほか、AIに関する技術を提供している海外企業と相談したうえで増やしているという。
近年は日本もカメラ大国と呼ばれるほど、セキュリティカメラの設置台数が飛躍的に増えたが、そのぶん録画した映像をあとから確認する作業に膨大な時間を必要としおていた。だが、このサービスを活用すれば、その時間も格段に圧縮できるというわけだ。
ちなみに、展示会では、それまで開発側が思ってもみなかったようなキーワードを要望されることも多いようで、そういった意味でも、展示会への出展はとても貴重な場となっているようだ。

このように、AIやIoTにまつわる注目の展示が結構多かった『TECHNO-FRONTIER 2018』だったが、出展数ベースで考えるとまだまだ少ない印象で、今後もっと盛り上がる余地は充分あるのではというのが率直な感想だ。AI・IoTに関する技術やサービスは、まだまだ新しい分野だけに『TECHNO-FRONTIER 2018』でも、意外な組み合わせで、従来にはないサービスを紹介している企業も目についた。ハイペースで進化を遂げているAIやIoTの分野だけに、関連性の高い企業はもちろん、異業種の企業から刺激を受けたり、あるいは協業相手を見つけたり、展示会はイノベーションの加速に不可欠な要素ではないだろうか。

TECHNO-FRONTIER 2018

■会期 / 2018年4月18日~20日

■会場 / 幕張メッセ

■来場者数 / 1万9792人(3日間合計)

■出展者数 /448社(870ブース)

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