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一般社団法人日本能率協会
2017/12/20

今、リノベーションが熱い! 老朽化した団地・集団住宅こそ魅力の宝庫 『Japan Home & Building Show 2017』

Japan Home & Building Show 2017」が、11月15日~17日に東京ビッグサイトで開催された。

総務省統計局の調査によると、平成25年の空き家は818万戸という。それも年々増加している。一方で日本の人口は平成20年をピークに減少をはじめている。しかし平成21年にいったん落ち込んだ新築の賃貸住宅は相続税の改正も手伝って伸び続け、平成28年には年間400万戸を超した。

人口は減っているにもかかわらず、新築が供給されているのだ。賃貸は新しい物件ほど人気が高いため、築年数の長い物件に人を呼ぶための施策が重要になってくる。

団地再生が空き家問題を解消する鍵

団地まつり団地模型

戦後、都市の大部分が焦土と化し、不足した住宅を補う目的で多くの団地が建設された。筆者は都内に近い衛星都市で育ったが、同じ学区内に思いつくだけで4つほどの団地があった。しかしどこも駅から遠く、丘の頂上にあるなど、便がよいとは言えない場所にある。団地からの住人の転出と高齢化など、厳しい状況にあることは想像に難くない。

今、こうした団地を再生させる動きが活発化しているという。団地再生支援協会のブースでは、企業や大学が団地全体のリノベーションに取り組む事例が紹介されている。団地には賃貸と分譲がある。このどちらにも、リノベーションの動きが活発になっているようだ。

賃貸の場合、団地全体をまるごとリノベーションして新しい住宅の提案を行っている。団地によってテーマを決め、特色をつけて改造し、集合場所を作りイベントを行い、「住む」だけではなく「生活」の提案を行う。

分譲の場合、低下した評価額のまま売りに出すのではなく、しかるべきリフォームを施し、価値を上げてから販売するサービスもある。すると1000万に満たなかった売価が数千万になるという。それでも買い手からすれば安いものだ。

団地はもともと、子供を育てることを前提とした作りだ。公園スペースがあり、緑が多いなど環境がいい。
こうした場所の物件を比較的安価に購入できたり、借りられるのは大きな魅力だろう。

戦隊ものさながらのアピールで配管をリニューアル

古い物件でもっとも年代を感じるのが、サッシと配管だろう。筆者が古い物件に住んでいた頃は、重く保温性の低いサッシや、異臭が立ち登ってくる下水などに悩まされたものだ。もちろん、リフォームにおいてもこの2点は注目される。

サッシ展示1サッシ展示2

サッシ展示3サッシ展示4

サッシは各社の目の付け所が異なった。ある出展者は、震災により住宅が歪んでも扉の開け閉めが可能なシステムを紹介。また別の出展者は風の通りやすい窓や扉、吸湿除臭効果の高い壁で室内の空気を清浄に保つことに着目している。

サッシ展示5サッシ展示6

またあるガラスメーカーの底力を見せ、ガラス面を大きく保ちながら遮音性と防熱効果の高いサッシを提案している。自分に最も必要な機能はなにか、なにに重きを置いて窓や扉を選ぶのか、自宅の環境や問題点と照らして自由に選ぶことができそうだ。東京都では、高断熱窓を導入すると補助金が支給される事業がある。国や自治体の補助金の併用も可能なので、積極的に利用したい。

古い配管も、集合住宅にとって大きな問題だ。臭いだけではなく、老朽化した配管が破損するなどの事故もあるという。こうした問題に対応するために、各社その技術を争っていた。

配管展示1

技術を訴えるために派手なブースで注目を集めた出展者がいる。会場に大きく設置された模擬の配管はとにかく目立つ。いやでも何が行われているのか気になってくる。

同社の技術は、配管の接合部に強力な吸引装置を取り付ける。配管内の汚れを根こそぎ取り除き、そして同じ手法で、管内に皮膜を吹き付けて配管をリニューアルするという。

配管展示2配管展示3

また配管のリニューアルを行う別の企業では、吸引するのではなく、自動的に押し出される皮膜が管内を補強していく。

配管展示4配管展示5

配管を取り替えるとなると大がかりな工事が必要だが、リニューアルなら1日の工事で完了するという。破損部分にもしっかり皮膜が食い込み、補強できる。

再注目される国産材と、家具消費の動向

同時開催の「ふるさと建材・家具見本市」では、地方からの出展をメインに、地域の木材を使用した、シンプルかつ質のよい家具が並んだ。ある出展者の出展理由が興味深い。

家具1家具2

福岡県大川市では、明治以降、木工技術を活かした家具の街として栄えたという。

「以前は、結婚する夫婦は婚礼家具を一式揃えたものです。しかし最近はそのような習慣も廃れつつあります。その代わりに受注が増えてきたのが、設計事務所やデザイン会社です」という。今は、建築の際にインテリアデザインの一環として家具を捉えるようになり、個人よりも作り手の顧客が増えたのだという。その開拓のための出展だ。

これまで、米国やカナダといった国から輸入してきた木材だが、ここ数年、海外からの木材が日本に入りにくくなっていると聞く。その代わりに注目されているのが国産材だ。林野庁によると5年前からすこしずつ自給率が上がっており、このまま伸び続けることが予想されている。

国を挙げて取り組むべき問題のサポートをする見本市として

本展示会の担当者に話を聞いた。

ふるさと建材・家具見本市1ふるさと建材・家具見本市2

「ホームショーは、戸建てはもちろんのこと、団地や集合住宅、その周りの景観材も扱う、日本で唯一の住宅建築見本市です。今、業界内では老朽化したマンションや団地が問題になりつつあります。現在、築45年を経過した団地数は291ですが、20年後には3000団地弱になるという統計を国交省が出しています。国を挙げて、この問題を解決する必要があるんです。その他、今後も、全国の特色ある地域建材や建具が一堂に揃う見本市にしたり、注目されている断熱材等、高性能住宅に欠かせない商材やサービスも手厚くしていくつもりです」

戦後、家族が基本的な集団の形だった。住宅や家具もそれを前提として考えられ、夫婦と子どもが住める大型の住宅が求められた。そして高齢化社会を迎え、二世帯住宅が奨励された。しかし今や家族を持たない単身者も多い。伴侶を亡くした高齢者もいるだろう。

家族とひとつの集団を作るのではなく、シェアハウスなどを代表するように、他人と共同生活を営む形も浸透しつつあるように感じる。

国土交通省によると、日本には約5000もの団地がある。個数で言うと2万戸に近い。高額な家賃を支払うことが難しい単身者や若い夫婦、そして高齢者や障がい者が問題なく住める場所として、団地をリフォームして生まれ変わらせることには、大きな意義がある。団地居住者の高齢化と空室問題を解決するのにも役立つ。

実際に生まれ変わった団地の事例を見ていると「次は団地に住みたい」と思うほどだ。古きよき時代のものは残し、不便なものはリニューアルする。多様化するニーズに建物をどう変えるかをあらゆる方向から見つめた展示会だった。

ふるさと建材・家具見本市3

Japan Home & Building Show 2017

■会期 / 2017年11月15日〜17日

■会場 / 東京ビッグサイト

■来場者数 / 4万1576人(3日間合計)

■出展者数 /519社(907小間)

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