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一般社団法人日本能率協会
2017/08/16

IoTやクラウドなどIT技術の波が押し寄せる 『メンテナンス・レジリエンスTOKYO』をレポート

ICT技術を組み合わせた新しいソリューションが目白押し

 7月19日〜21日の3日間、東京ビッグサイト(東京国際展示場)で『メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2017』が開催された。『メンテナンス・レジリエンスTOKYO』は、1960年に初回開催したメンテナンス・ショーを基盤とする専門展の集合体として、2015年から7月に開催している展示会で、今回で3回目を数える。会場は『プラントメンテナンスショー』を中心に『インフラ検査・維持管理展』『建設資材展』など、6つの分野で合計522社が参加。各社とも、独自の技術や新たな工法などを披露し、製品やサービスのアピールをしていた。さっそく、会場のレポートをしていこう。

メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2017

 2013年の開催時は、東京ビッグサイトの1ホール程度の規模だったが急激に規模を拡大。今年は、東京ビッグサイトの東1〜3ホールに合計800以上のブースが設けられ、来場者は3日間の合計で約3万8000人にものぼった。

 会場で、最も広いエリアを占めていたのが『プラントメンテナンスショー』だ。各ブースでは、文字通り、工場の運営に必要な装置やサービスなどが展示。ICT技術を取り入れたウェアラブルデバイスなども展示されており、先進的なサービスが、いち早く導入されていることが印象的だった。

富士電機ブース

富士電機ブース 富士電機ブース

 産業・インフラ分野の大手メーカーが、パソコンと連動して、メガネ上に情報を表示するスマートグラスを展示。インターネットを利用して、サポート要員が遠隔地から作業員をサポートできる仕組み。作業者は、音声通信でサポート要員とやり取りができ、作業に必要となる情報をリアルタイムに得られ、作業の効率化に加えて、作業品質の向上も期待されている。なお、このメーカーでは、自社のサービスを体験できるキャラバンカーを用意。同社の技術力と信頼性をアピールしていた。

日鉄住金ブース 日鉄住金ブース

 鉄鋼分野での操業・メンテナンスを中心に幅広く事業を展開するメーカーでは、VR技術を利用して、設計した工場内を仮想空間で体験できるシステムを展示。工場内の設備を刷新したり、装置を置き換えたりする場合、配管の状況などが確認でき、あらかじめ問題になりそうな箇所をチェックできる。工場内の設備などは、設置してしまってからでは容易に修正できないだけに、仮想空間でのチェックは非常に効果的。メンテナンスだけではなく、新規に工場を建築する場合にも活躍しそうだ。

人間が調査できない箇所をチェックするドローンたち

 『プラントメンテナンスショー』に次いで、出展ブース数が多かったのが『インフラ検査・維持管理展』。数多くの企業が出展する中で、中でも印象だったのは“ドローン”の活用だ。ドローンと言うと、飛行型を思い浮かべるが『インフラ検査・維持管理展』で出展されていたドローンは、水中や配管内で活動するドローン。従来は検査が難しかった箇所も、ドローンやICT技術の活用によって、容易にチェックできるようになりつつあるようだ。

広和株式会社ブース

広和株式会社展示品 広和株式会社展示品

 水中で活動するドローンを展示している出展者を発見。遠隔操縦ができる水中用のドローンで、水深50メートルに対応したモデルから水深2000メートルの環境で活動できるモデルまでをラインナップ。貯水タンク内の点検から海底深くに設置されたパイプラインなどのメンテナンスにも活躍する。また、展示されているドローンには、水中底面掃除用のモデルもあった。タンク内を清掃したい場合、水抜きをする必要がなく、合わせてタンク内の点検も可能。貯水タンクの清掃などで活躍しているという。

菅清工業株式会社ブース 菅清工業株式会社展示品

 一方で、下水管の管内を調査するために開発されているドローンも展示されていた。下水管では、勾配を利用して下水を流す自然流下方式と、ポンプによって下水を流す圧送方式のいずれかが使われているが、圧送方式の場合、配管経路が複雑になる場合があり、調査ができない区間が多く存在するという。その未調査区間の調査を期待されているのが、ミミズ型のドローンだ。ミミズと同様に蠕動(ぜんどう)運動をすることで管内を進み、搭載したカメラの映像で、配管内の問題を探し出すことができるという。

非破壊検査株式会社ブース 非破壊検査株式会社展示品

壁面の走行が可能なドローンを展示している企業もあった。材質を問わず、壁や天井を走行できるロボットで、最大で25キログラムまで積載が可能。移動速度が最高70mm/秒と速い点も魅力だ。しかも、塗装やウォーターブラスト処理も実行できる仕様で、状況のチェックだけではなく、簡単なメンテナンスまでこなせる。

ICT技術やドローンが進化してもカギを握るのは人間

 メンテナンスの分野は、状態をチェックして、その結果に合わせて補修・改修する必要があるため、従来は、いわゆる“職人技”に頼らざるを得なかった。ところが、センサー技術やICT技術の進化により、急激にデジタル化の波が押し寄せ、効率化が進んでいる。とはいえ、ビジネスにおいて、効率は重要なことだが、インフラと工場設備は安全性を無視することはできない。効率だけではなく、しっかりと安全性も担保されているのだろうか。『メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2017』の担当者に話を聞いた。 メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2017 担当者

「じつは、メンテナンスの業界では、以前からデータを詳細に記録していました。この設備を利用していると、これぐらいの期間で壊れるとか、使っている建機はどこが故障しやすいとか、現在のようにIoTやクラウドなどICT技術が進化する以前から、詳細な情報を残してきました。従来は、そのデータを人間が分析し、設備を点検する時期だったり、パーツを交換したりといったことを決めていたんですね。その記録があったからこそ、IoTやクラウドを利用して、先進的な仕組みを作り上げることができたのだと思います。ですから、安全性は従来よりも向上していますね」

 なるほど。メンテナンスの業界が、脈々と記録してきたデータは、ビッグデータとも言える。ICT技術は、メンテナンス業界とマッチしていたというわけだ。それならば、従来以上の効率化を進めたとしても、十分に安全性を担保できるだろう。

 また『メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2017』では、メンテナンス向けに開発されたドローンも多数見受けられた。今後は、メンテナンス業界でも、ドローンが活躍することは多くなるのだろうか。この点についても話を聞いた。

「確かに、今回は飛行型のドローンに関連する出展が急激に増えましたね。いままでは点検が難しかった場所でも、ドローンを利用することで、点検が可能になるといったメリットがありますし、この業界でもドローンの利用は増えるでしょう。ただ、今後は、ドローンをはじめとする産業用ロボットの分野でもメンテナンス技術が重要になる可能性があるかもしれません。とすると今後は、そういった技術を持つ企業に注目が集まると思います。ぜひ次回の『メンテナンス・レジリエンスTOKYO』に出展していただきたいですね」

 メンテナンスは、単純にモノを生産する作業とは、判断の基準も、必要な作業も、大きく異なる。今後は、あくまでも人間が中心として、それをサポートする技術が求められる可能性が高い。ICT技術やドローンを人間に合わせてカスタマイズできる企業がビジネスチャンスを掴めるだろう。

メンテナンス・レジリエンスTOKYO

■会期 / 2017年7月19日~21日

■会場 / 東京ビッグサイト

■来場者数 / 3万8463人(3日間合計、他の同時開催展の入場者数を含む)

■出展者数 / 522社/861ブース(前回469社738ブース)

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