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一般社団法人日本能率協会
2017/08/16

無電柱化推進法案成立で新しい手法や新コンセプトが続々登場 全国の自治体が注目する『無電柱化推進展』

電柱を撤去して地中にケーブルを埋設することの意義は?

 『文教と公共の施設フェア2017』の中でも、にわかに注目を浴びているのが『無電柱化推進展』だ。今回で第3回の開催となるが、『文教と公共の施設フェア2017』の4分の1ほどのエリアを占めるほどで、開催されたセミナーも立ち見がでるほどの人気ぶり。昨年12月に『無電柱化の推進に関する法律案』、いわゆる“無電柱化推進法”が成立し、従来までの規格が大幅に変わり、それに伴って自治体が注目しているのである。
 とはいえ、なぜいま“無電柱化”が必要なのだろうか。まずは、すでに出来上がっている“電柱”というインフラを変えてまで、無電柱化を推進する理由を『第3回 無電柱化推進展』の担当者に聞いた。

第3回 無電柱化推進展 担当者

「無電柱化をする、最も重要な意義は“防災”であると捉えています。東日本大震災のケースですが、地震によって電柱が倒れ幹線道路をふさいでしまい、救急車や消防車が通れず2次災害が広がってしまったという一面もありました。無電柱化することで、そういった問題を解決できます」

 確かに、電柱は強い地震で“倒れる”可能性がある。ケーブルを地中に埋設して電柱を失くせば、その危険性はなくなる。災害へ迅速に対処するため、無電柱化が必要になるわけだ。
 とはいえ、防災だけが無電柱化のメリットではないと言う。無電柱化に注目している自治体には“景観”を重視しているところも多いという。会期中に開催されたセミナーでも「歴史・文化都市京都の先斗町通における無電柱化事業の実施状況について」や「伊勢おはらい町の無電柱化で町づくり 〜来町者年間20万人から550万人に増加〜」など、ズバリ景観をテーマにしたものもある。自治体の無電柱化導入を後押ししているのは、技術革新と規制緩和だという。

「従来、無電柱化することに対してハードルとなっていたのが“コスト”です。電柱にて配線されている電線類を全て地中化するには膨大なコストがかかります。ですが、技術革新が進み、新しい手法が考案され、比較的リーズナブルに無電柱化を実現することができるようになってきました。たとえば、低コスト手法の検討により地中に直接埋設できるケーブルが利用できるようになったり、低価格でケーブルを敷設できる工法が開発されたり、無電柱化を実現しやすい状況ができてきました。観光資源を活かす施策のひとつとして、無電柱化を検討している自治体も多いようです」

 一見、地味に感じられる無電柱化業界だが、防災と景観という2つの効果を兼ね備え、しかも従来より導入しやすくなったことで、インフラとしての優先度がグッと上がってきたようだ。
 さて、無電柱化が注目されている理由を理解したところで、いよいよ『第3回 無電柱化推進展』の見どころを紹介していこう。

新しい設計や手法でケーブル敷設の経費を削減

 出展ブースで、最も多く見られたのは、地中に埋設するケーブルの保護管に関連した製品や技術だった。樹脂素材で作られた保護管が主流で、軽量でコンパクト、しかも加工性にも優れており、それでいて地中埋設に耐える強度を備えるという。また、印象的だったのは保護管の形状だ。本来、ケーブルは円形だが、出展されていた保護管は四角形のものが多く見られた。円形のケーブルを固定するために必要だった管枕が不要になり、より効率的に埋設作業を進められるという。

古河電工ブース 角型エフレックス展示

 地中埋設ケーブル保護管のトレンドは四角形の形状。敷設する際に、安定感が良く、多条多段配管を簡単に実現できることが特徴。従来は必要だった管枕が不要でコンパクトに設置できるため、掘削範囲をより少なくでき、施工にかかる時間を短縮できる。

継ぎ目を簡単に接続できる仕組み 継ぎ目を簡単に接続できる仕組み

 継ぎ目を簡単に接続できる仕組みを導入し、より簡単に施工できる地中埋設ケーブル保護管も出展されていた。専用の継手パーツを使うことにより、ワンタッチで保護管どうしを接続。また、従来は一度つなげた保護管は切断するしか分割できなかったが、取り外し用工具を使うことで、手軽に取り外しが可能となっているのも特徴。なお、継手内部には水膨張不織布を備えており、浸水を防ぐ仕組みになっている。

株式会社イトーヨーギョーブース 無電柱化の仕組み展示品

 地中埋設ケーブル保護管を使う方法ではなく、道路脇の側溝と一体化したケーブル収納用スペース設け、無電柱化を実現できる製品を出展している企業もあった。上段は側溝になっており、下段はケーブルを通すスペースになっている。都市部の道路では、すでに埋設物が多く、道路幅の狭い路地などは、新規にケーブルを埋設するスペース確保が難しい。この仕組みならば、そういったケースでも問題なくスペースを確保可能。既存埋設物の調査や移設が最小限で済み、工期の短縮や工事費用の削減も期待できる。

無電柱化の仕組み展示品

 舗道の縁石の下を活用するタイプも用意。縁石の下に小型のトラフを設置する仕組みで、舗道が整備されている道路には最適。なお、縁石部分は、集水機能も備えており、雨などで路面に溜まる水分を速やかに排除できる。道路や歩道の整備ができ、なおかつ無電柱化できる一石二鳥の仕組みが魅力だ。

既存の規格が変わりビジネスチャンスが広がる無電柱化

 新しい手法や新コンセプトなど、ケーブルの埋設に関する出展が目立つ『第3回 無電柱化推進展』だが、ほかにも気になるブースは多い。中でも、注目しておきたいのが、地中に直接埋設できるケーブルを出展していたブースだ。

展示ブース

地中に直接埋設できる光ファイバーケーブル 地中に直接埋設できる光ファイバーケーブル

 こちらのブースでは、地中に直接埋設できる光ファイバーケーブルを展示。ステンレス製の金属管に光ファイバーケーブルを内包する設計になっており、強靭な耐久性が特徴。砂利に埋めたケーブルをトレーラーに踏ませる耐久テストを実施しており、ケーブルを覆うシースはボロボロになっているものの、通信品質には影響がないことを実証済み。直埋設に耐えられる十分な強度を持っており、地中埋設ケーブル保護管の設置が難しい環境でも利用できる。
 ほかには、直埋設電力ケーブルを展示しているブースもあり、地中埋設ケーブル保護管を必要としない直埋設ケーブルは、無電柱化の推進において、今後、見逃せない要素になってくるだろう。

 一方、無電柱化で避けられない重要な要素でありながら、見落としがちになるのが“変圧器”である。無電柱化を進めれば、従来、電柱の上に設置されていた変圧器も、当然ながら設置場所の変更が必要になる。せっかく無電柱化しても、武骨な変圧器が道端に多数点在するのでは景観が台無しだ。

 今回の『無電柱化推進展』では、地上に設置した変圧器に対して、デジタルサイネージとして活用する企業やデザインシートを貼ることで変圧器の新たな活用提案をしている企業も見受けられた。

3M展示ブース 景観への配慮を提案している出展

 道路脇などに設置された変圧器の表面にデザインシートを貼り、景観への配慮を提案している出展者を発見。これ以外にも、デジタルサイネージを利用して街のインフォメーションを表示するといった提案もあり、地上に配置された変圧器の活用法に注目が集まっている。

 前出の『無電柱化推進展』の担当者は、無電柱化には、まだまだ大きなビジネスチャンスが広がっているという。
「たとえば、海外で使用されている直埋ケーブルは、日本メーカー製のものが輸出され、プラントやインフラなどで使われているケースも多いんですよ。無電柱化推進法の成立で、今後はそういったケーブルも国内での利用が進むと考えられます。ケーブルを扱うメーカーには、大きなチャンスになると思いますね。また、変圧器を製造する電気設備メーカーにも期待がかかります。デジタルサイネージなども有効な活用方法ですが、より小型な変圧器も求められるでしょう。加えて、電柱が担っていた街路灯としての機能も、新たに考える必要がありますね」
 いざ無くなってみると気がつくことだが、じつは電柱が担っていた機能は電力を送る以外にも多岐にわたる。それらの機能を損なわず、なおかつ無電柱化するのはケーブルを地中に埋めればおしまいというわけではなさそうだ。来年開催される『第4回 無電柱化推進展』では、ケーブルの埋設や電柱の撤去だけではなく、より幅広い企業にビジネスチャンスを生み出すかもしれない。

第3回 無電柱化推進展

■会期 / 2017年7月19日~21日

■会場 / 東京ビッグサイト

■来場者数 / 3万8463人(3日間合計、他の同時開催展の入場者数を含む)

■出展者数 / 41社/53ブース(前回 38社/48ブース)

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