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一般社団法人日本能率協会
2017/12/20

人か、ロボットか。「使う側」の意識改革を促す業界最大の専門展示会 『ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO 2017』

 日本で唯一かつ最大の業界専門展示会である「ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO 2017」が、11月15日~17日に東京ビッグサイトで開催された。

ビルの掃除をする人というと、どんなイメージがあるだろうか。
リタイアしたシルバー組が担う仕事、3K、人手不足……正直、よいイメージがあったとは言いにくい。しかしそれが一変した催しがあった。「全国ビルクリーニング技能競技会」だ。

ビルクリーニングのイメージが一変する熱い戦い

「全国ビルクリーニング技能競技会」参加者競技会の様子

「全国ビルクリーニング技能競技会」は、全国の予選を勝ち抜いた精鋭18名が、ビルクリーニングの技術を競う大会だ。参加資格はビルクリーニング技能1級を持っていること。現在は3級まであるその資格保持者が全国に5万人以上いるというのも意外だ。

競技の様子を覗いてみると、候補者2名が、それぞれ決められたスペースを手際よく磨き上げていく。男性も女性も鍛え上げられた肢体で、動作はキレッキレだ。彼らがクリーニングしたビルは、さぞかし美しく磨き上げられることだろう。のぼりを持ち、おそろいのはっぴやTシャツを着た応援団の熱気にも圧倒された。

応援団競技会の様子

主催者に話を聞くと、いわゆる3Kと言われている清掃業のイメージアップのために協会と技能検定ができたという。「今年新設された3級は障がい者も受験が可能です。決められた作業が得意な障がい者も多いですから、技能を持つことで一般的な収入を得ることが出来るようになるでしょう」とのことだ。

清掃業という言葉の持つイメージと、ビルメンテナンスやビルクリーニングの持つイメージではまったく違う。競技を行うことで技術の向上を披露してマイナスのイメージを払拭し、技術を身につけたプロの集団として活躍する時代が来そうだ。

とはいえ、ビルメンテナンス業界の人材不足問題はそれだけでは解決しない。今後はさらに足りない人手をロボットが補うことになっていくだろう。会場では、各社がこだわり抜いたロボットが右往左往していた。実際に千葉駅などではロボットによる自動清掃が導入されているという。

清掃ロボット清掃ロボット

平面で広い場所はロボットの得意分野だ。ロボット自身が地理を覚え、決められた範囲を清掃していく。広い範囲を人の手で清掃にするには、時間がかかる上に力も弱く一定の成果を上げづらいため、人とロボットを比較したら、圧倒的にロボットが有利だろう。

セミナーの様子セミナーの様子

宿泊業も人手不足で悩む業界のひとつだ。主催者セミナー「東京五輪を見据えた宿泊業界における清掃業務の生産性向上~宿泊、清掃、ロボット各分野有識者によるパネルディスカッション~」によると、大型の旅館やホテルで、ロボットによる清掃を取り入れたくても、段差が多かったり、使い手が高齢で機械を使うことに抵抗があるなどの問題があるという。カーペットとフローリングが混在している場合もある。ロボットは壁際や階段など,細かな部分にまだ手が届かないからだ。

ポイ捨てガム除去マシンポイ捨てガム除去マシン

一方で、ひとつの能力に特化した機械も紹介されていた。たとえば、ガムや接着剤などをスチームと特別な洗浄剤であっという間に落とせる機器だ。これまではヘラでひとつひとつこそげ落とさなければいけなかったガムも、機械で軽くこするだけできれいに落とせる。雑多な機能をすべて排除し、得意分野に特化した機器は、使う側もイメージがしやすいだろう。

トイレ産業展では、各社のホテル並み快適トイレがズラリ

仮設トイレの展示

トイレ産業展2017」では、主に仮設トイレが並んだ。工事現場などに女性の労働者が増え、国土交通省が「快適トイレ」が仕様をさだめて推進しているためだ。

これまでの仮設トイレは、臭い、狭い、汚いと、とにかく使うことを敬遠したくなる場所だった。

野外イベント会場などでは、女性の多くは現場に行く前にどこか店に入り、トイレを済ませてから向かうものだ。居心地の悪いトイレは、なるべく使いたくない。そうした意識が働くのか、災害時には、トイレを我慢して病気になったり、亡くなってしまう人もいるという。トイレの清潔感や安心感は、特に女性にとっては欠かせない条件なのだ。

快適トイレの展示快適トイレの展示

こうした問題を踏まえて開催された展示会。今や仮設トイレにもユニバーサルデザインが採用されているのには驚いた。床面には段差がなく、車いすでも空けやすいスライド式のドア、手すりもついている「みんなのトイレ」だ。通路も広々としていて、通常のビルにあるトイレと遜色ない大きさ。これがイベント会場に搬送され設置されるという。もう「野外イベントはトイレが汚いから行くのがおっくう」と憂鬱になる必要もなさそうだ。

快適バイオトイレB-eat快適バイオトイレB-eat

おがくずを利用した無水トイレ

バイオの力で水を使わずに汚物を分解するトイレもある。山中など、水道のない場所で使えるといい、便器の中のおがくずは2~3年に1度取り替えるだけでいいという。おがくずに汚物を沈めてしまえば、不快な臭いもしない。災害時に水がないときにも活用できるが、1日に数十人など多くの人間が使用する公衆トイレなどには処理が追いつかないため不向きだそうだ。

人とロボットの共存が不可欠のビルメンテナンス業界

本展示会の担当者に話を聞いた。
「この展示会のテーマは、人とロボットの共存です。ロボットには不得意分野がありますから、それを人がカバーしながら、業界の生産効率を上げるためにはどうしたらいいかを考えていきます。それから来年以降は、海外の情報も仕入れていきたいですね。日本は、こまめに清掃をして、いつも綺麗にしておくという意識ですが、国によっては、汚れるのを待って、目立つなと思ったら一気に掃除をするところもあります。日本ほど清潔感に対する意識の高い国はそうそうないと思います。そのせいか国内では技術や情報の交換がされていますが、海外のものは入ってきていません。しかし海外から新しい発見がある可能性もあるため、今後も積極的に働きかけていきたいと考えています」

ビルのメンテナンスとクリーニングは密接な関係にある。こまめにクリーニングしていれば、劣化を抑えることができ、建物自体の寿命が長くなる。しかし企業にとってクリーニングそのものは収益を上げる直接的な行為ではないため、どうしても費用の圧縮に目が向きがちだという。そのため、いかに効率的にクリーニングを行えるかが課題となる。

「全国ビルクリーニング技能競技会」で人の技術と知識の高さを体験し、一方でさまざまなロボットが集結し、その能力を披露していた。窓拭き専門のロボットや、ガムを取り除くといった、専門分野に特化した機器も目立つ。ロボットや機械は人の仕事を奪うのではなく、得意分野の住み分けが重要なのだと感じた展示会だった。

階段や壁際など細かな部分はまだまだロボットではなく人の手が必要だろう。一方で広くて平らな場所をしっかり磨き上げたり、高所などの危険な作業をロボットが担う。こうした分担をしていくことで、費用対効果が上がっていくはずだ。

競技の様子ROBO CLEAN

今後ビルクリーニング界は「誰にでもできる仕事」ではなく、今よりもさらに技能と知識を持ったプロ集団になっていくのではないか。ロボットを管理し、不足部分を補いながらより早く、より綺麗にクリーニングができる人材が活躍する業界になるだろう。

それにはまず、使う側のイメージを払拭する必要があるかもしれない。誰にでもできる、クオリティ度外視でコストを軽減する意識から、長い目で見れば費用対効果が高いこと、人とロボットの使い方によって生産性が上がること、そしてクリーニングが行き届いた場所での作業は生産性が上がることを、今後もしっかり展示会でアピールしていく必要があるだろう。

ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO 2017

■会期 / 2017年11月15日〜17日

■会場 / 東京ビッグサイト

■来場者数 / 1万103人(3日間合計)

■出展者数 /130社(229ブース)

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