ようこそ、展示会!ビジネス・産業振興のために

一般社団法人日本能率協会
2017/10/06

展示会の役割というのは、どういったイノベーションがあるかをしっかりと打ち出すこと。産業振興センター 第1グループ 第2チーム チーム長 山口陽誠

一般社団法人日本能率協会(以下、JMA)は、九州を皮切りに東京、そして2017年から北海道で農業系展示会を開催することとなり、東京開催を間近に控えている。今年のみどころは特別展示の「トマト・イノベーション」。一体どんな内容なのか、アグロ・イノベーションを担当している山口陽誠(やまぐち あきなり)に聞いた。

今年のイノベーションの企画にトマトを選んだのは、汎用性や種類などを鑑みて、幅広い生産者に興味を持ってもらえると思ったから。

――「トマト・イノベーション」とは、何なのでしょうか?

山口 東京では毎年、アグロ・イノベーションという農業の展示会を開催しています。生産から流通、販売、そして消費まで、すべて網羅している展示会です。なかでも特色を出したいと思い「トマト」に着目しました。それが、特別展示の「トマト・イノベーション」です。

トマトイノベーション スクリーンショット

――なぜ今回、「トマト」に着目したのでしょうか?

山口 消費量が多く、生食でも加工でもいけるため汎用性がある。大きさや味、色など種類も豊富で、スーパーでもかなり棚を割いています。売れるから小売りでも扱っているし、トマトの生産者様はたくさんいらっしゃいますね。トマト市場がどうなっているか興味のある方は多いはずです。
トマト・イノベーションと銘打っていますが、トマト農家だけを対象としているわけではありません。施設栽培する場合、トマトで使っている技術をそのまま他の野菜の栽培に活用できることも多々あります。そういった点や採算性や事業性が高く入りやすいことから、トマトから始めてみる生産者様も多いようです。
また、トマト栽培施設を他の青果物を生産している生産者様が訪問することも多いと伺っています。その点からも、トマトを取り上げることは波及効果が高いと感じました。展示会には色んな方に来ていただき、トマトの技術を他の作物にも転用していただければと考えています。

――「トマト・イノベーション」とは具体的に、どんな内容なのでしょう?

山口 大きく分けて、展示とセミナーの二本立てです。
まず展示ですが、トマトを生産するために必要な最新の技術や機材を紹介しています。また、約30品種ものトマトの試食や、付加価値を高めるための選別、パッキング実演など、トマトに関する色んなアプローチの仕方を提案する特別企画を予定しています。それから九州で好評だったので、東京でも農業に関する悩みについて相談できる無料相談コーナーを設けます。トマト以外の経営相談もできるコーナーになっています。お答えいただくのは、全国のJA様や農業法人様などのコンサルティングを手がけておられる方です。たくさんの農業生産者や事例をご存じの方々なので、良いアドバイスをしていただけるのではないでしょうか。トマトの生産を実際にやっていらっしゃる方にもお越しいただき、2名体制で相談に乗っていただく予定です。それ以外にも、トマトに特化したセミナーも多数用意しています。

展示だけではなく、セミナーにもかなり工夫や戦略を盛り込んでいる。

山口陽誠

――セミナーはどういった内容なのですか?

山口 高級トマトのブランド化を成功させたお話や、施設栽培している方の実際の事例も踏まえてお話していただいく予定です。九州では初日にタイアップイベントがあり、生産者の成功事例を発表するコーナーがありました。九州は平地が少なく、斜面だと畑を耕す機械も入らない。そのため、その方はまず土地を平らにすることでした。整地することで機械も入れられるようになり、圧倒的に労働力の削減になったそうです。機械のおかげで人的コストも削減できて、土地を買うお金ができ、また整地して良い循環が生まれたというお話もありました。

――最初に機材に投資する勇気があるかが大きなカギですね。しかし、現状お金も回らず時間もとれず、展示会も勉強会も出られないといった苦しい農家さんもいるかもしれません。こういった課題を突破する提案はしているのでしょうか?

山口 今のところ北海道だけですが、展示会ではカバーしきれない部分をサポートする学習&交流事業に取り組んでいます。年に3回くらい集まって、それぞれの夢に向かって進んでいけるような、気持ちを共有できる場作りを進めています。進んでいくにあたって、経営学や簿記、あるいは実技的な知識などが必要になるかもしれません。そのときに個々に応じたセミナーや実技のプログラムなどを、我々やJAさんなどから提供し、支援できればと考えています。

技術的にIoTは外せない。それをどういう風に取り組んでいくかを提案している。

――北海道以外でもそのようなサポートができたら農家さんも嬉しいでしょうね。今後も力を入れていきたいものは何でしょうか?

山口 名称が「イノベーション」なので、IoTは着目して力を入れていきたいです。技術的にIoTでものを繋げていくことによって、色んなことが制御できるようになっていますし、まだまだ進化していくでしょう。

また施設栽培の技術はオランダが先進国です。特に資機材や環境制御が進んでいるイメージですね。オランダとつながりの深い企業も多く、積極的に技術を学びに行っていますね。スマホだけで農業活動を管理する技術も進化していますので、今後もIoTは注目すべきだと思います。

――今回は3地域での開催ですが、それぞれで違いはあるのでしょうか?

山口 地域性を活かした作りにしています。九州は作地面積が狭いので、小規模高付加価値生産が向いています。小さな土地で、単価の高いものを生産する方法ですね。海外に近いこともあり「輸出」をキーワードに開催しました。北海道は逆に作地面積が大きいです。大規模経営者の方が多いため、JAグループ北海道にご協力いただき、座学やワークショップを行います。東京は全体を見ているので全部を網羅するかたちになっていますが、今年のキーワードは「トマト・イノベーション」ですね。

――九州を終えられて、手応えはありましたか? 

山口 東京と同じく、勉強熱心な方がとても多かったですね。立ち見が出るほどのセミナーがありました。通常、我々が開催しているセミナーは、100~150人規模で開催しています。昨年のアグロ・イノベーションのセミナーは200人でした。それでもその200人が埋まるほどで、内容によっては300人、400人とお越しいただきます。それほど熱心な方々が多くいらっしゃいますので、我々もどういう方にセミナーでご登壇していただくかは、慎重に決めています。

セミナー

展示会場を九州、東京、北海道と分けたことで、より地域に密着した企画が可能になった。東京には総合的な情報が集まるため、そこではより多くの最新技術や豊富な成功事例が手に入る。
IoTを活用し、経営的な視点を取り入れることで、飛躍的に効率化を図ることができるはずだ。「辛い」「キツい」という農業のイメージから、「やりがいがある」「儲かる」「楽しい」農業への転換は目の前に来ている。負のスパイラルから一転して上昇気流に乗るための種が、展示会にはある。
情報を提供する側は、農業に限らず、社会全体を見渡して企画を行う。そんな「濃い味」の情報を吟味して、取捨選択できるのが来場者だ。年間たった数日の情報収集で、開ける未来が180度変わるだろう。

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